一般向け啓蒙書
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/16 02:50 UTC 版)
「リチャード・セイラー」の記事における「一般向け啓蒙書」の解説
セイラーは行動科学の一般向け啓蒙書を多数執筆しており、代表作には『準合理的経済学(Quasi-rational Economics)』と『セイラー教授の行動経済学入門(The Winner's Curse)』がある。後者は、『Anomalies』というコラム・シリーズを一般向けに再構成したものである。彼は一貫して、市場ベースのアプローチは不完全だという問題意識を持ち続けており、こう述べたとされる。「従来の経済学では、人間は高度に合理的、あるいは超合理的であり、無感情な存在だと想定されてきた。人はコンピュータのように計算することができ、自己コントロールに関する問題など全くない、というわけだ」。 最近著は、『行動経済学の逆襲(Misbehaving: The Making of Behavioral Economics)』(W. W. Norton & Company, May 11, 2015/邦訳2016年)。 キャス・サンスティーンとの共著『実践 行動経済学(Nudge: Improving Decisions About Health, Wealth, and Happiness)』(Yale University Press, 2008/邦訳2009年)では、公的機関や民間企業がいかにして人々の日常における選択をよりよいものにすることができるかが議論されている。「人はしばしば、ひどい選択をしてしまった挙句に、あとでひどく後悔するものだ!〔…〕このようなことが起きてしまう理由は、私たち人間は誰でも、習慣化したバイアスという大きな溝に落ちやすいからであり、そのせいで教育、家計、健康管理、譲渡抵当、クレジットカード、幸福、そしてこの地球の問題に至るまで、たびたびひどい失敗に陥りがちなのである」。同著では、「選択の建築士(choice architect)」という概念が提唱されている。題名のNudge(ナッジ)とは、がみがみ言う(nag、ナッグ)よりも肘で軽く突く(nudge、ナッジ)ようなちょっとした後押しの方が、人の行動を変え良い結果に繋がるという理論に依る。
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