一国二制度をめぐる法制度
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/04 22:40 UTC 版)
「一国二制度」の記事における「一国二制度をめぐる法制度」の解説
一国二制度を実現する制度として、特別行政区がある。中華人民共和国憲法(1982年憲法以降)第31条は「国家は、必要のある場合は、特別行政区を設置する。特別行政区において実施する制度は、具体的状況に照らして全国人民代表大会が法律でこれを定める。」と規定している。香港やマカオの場合では、全国人民代表大会が「特別行政区基本法」を制定し、この2つの特別行政区を設置し、その制度を定めた。 ただし、中国では全国人民代表大会の中に常務委員会が設置され、この常務委員会が制定した法律が「法律」と呼称される。それに対して、全国人民代表大会(の全体会議)で制定された法律は「基本法」と呼称される。つまり、特別行政区基本法も、この意味での「基本法」であり、憲法的性質を持つことを示した名称ではない。また、特別行政区基本法の最終解釈権は、全国人民代表大会常務委員会にある(香港特別行政区基本法第158条)。同委員会の下にそれぞれ、香港特別行政区基本法委員会とマカオ特別行政区基本法委員会が設けられている。香港の裁判所は、基本法の規定のうち、中央政府の事務または中央政府と特別行政区の関係に関連するものについての解釈が判決に影響を及ぼす場合、全国人民代表大会常務委員会に解釈を求める必要がある。 2014年6月10日に公表された中国国務院新聞弁公室の白書では、香港特別行政区における一国二制度について「香港固有のものではなく、全て中央政府から与えられたものである」と明文で定義された。これと並び、同年8月31日に第12期全国人民代表大会常務委員会が、2017年からの香港の普通選挙制度について、事実上の香港親中派優遇、民主派締め出し策を設けることを発表したことも受けて、香港民主派は、デモなどを通じて中央政府による一国二制度のあり方に反対の姿勢をとっている。 アメリカ合衆国の米国-香港政策法では、香港の取り扱い方や、中国政府との分離について規定している。
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