ロバータ・フラックのバージョン
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「愛は面影の中に」の記事における「ロバータ・フラックのバージョン」の解説
ロバータ・フラックはジョー&エディーのバージョン(1963年のアルバム『Coast to Coast』に収録)で本作品を知った。フラックはワシントンD.C.にあるバネカー高校で音楽教師としてグリークラブの指導しているとき、女子生徒らに本作品を教え、自身もペンシルベニア大通りのクラブ「ミスター・ヘンリーズ」に雇われていたときに歌った。1968年のことであった。 やがてフラックはアトランティック・レコードと契約し、デビュー・アルバムの制作のために1969年2月24日から26日にかけて、ニューヨークのアトランティック・スタジオでレコーディングに入った。この時録音されたバージョンは5分22秒と長く、一度プロデューサーのジョエル・ドーンから再録音を提案される。理にかなった提案だったが、フラックは作り直すことを結局断った。同年6月20日発売のアルバム『First Take』に収録される。 1971年のある日、バージニア州アレクサンドリアの彼女の自宅に突然、クリント・イーストウッドから電話がかかる。イーストウッドはロサンゼルスのフリーウェイで車を運転中、ラジオでフラックの歌う「愛は面影の中に」を聴いたと言い、「今度自分が監督する映画にあなたの曲を使いたいんです。主人公はディスクジョッキーで、音楽がたくさん流れて・・・映画の中で唯一、紛れもない愛を描いた部分があるのですが、その場面でこの曲を使おうと思っています」と言った。フラックが了承すると、話題はお金の話に移った(イーストウッドは2000ドルの使用料を払った)。「ほかに何かありますか?」とイーストウッドが尋ねると、フラックは「使うのならもう一度やり直したいのだけれど。あれはテンポが遅すぎるので」と言った。イーストウッドは簡単に答えた。「いや、そんなことはない」 イーストウッドの初監督映画『恐怖のメロディ』は同年11月12日に公開され、「愛は面影の中に」は主演のイーストウッドと恋人役のドナ・ミルズが林の中や滝壺で愛し合う、イメージビデオ風のシーンで使われた。 アトランティック・レコードは1972年1月24日、1分ほど縮めたバージョンをシングルA面として発売した。B面にはアルバム未収録の「トレイド・ウィンド(Trade Winds)」が選ばれた。同年4月15日から5月20日にかけて6週連続でビルボード・Hot 100の1位を記録し、イージーリスニング・チャートでも1位を記録。そしてついに1972年のビルボード年間チャートの1位を獲得し、第15回グラミー賞の最優秀レコード賞と最優秀楽曲賞をともに受賞した。
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