ロスチャージ裁判
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/29 13:43 UTC 版)
最高裁判所判例 | |
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事件名 | 不当利得返還請求事件 |
事件番号 | 平成17(受)957 |
最高裁判所第二小法廷 | |
判例集 | 集民 第224号521頁 |
裁判要旨 | |
コンビニエンス・ストアのフランチャイズ・チェーンを運営する甲とその加盟店の経営者である乙との間の加盟店基本契約の条項中に、乙は甲に対し加盟店経営に関する対価として「売上総利益(売上高から売上商品原価を差し引いたもの)」に一定の率を乗じた額を支払う旨の定めがある場合において、
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最高裁判所第二小法廷 | |
裁判長 | 津野修 |
陪席裁判官 | 今井功、中川了滋、古田佑紀 |
意見 | |
多数意見 | 全員一致 |
意見 | 今井功、中川了滋(1.-2.について) |
反対意見 | なし |
参照法条 | |
民法91条 |
ロスチャージ裁判(ロスチャージさいばん)とは、日本のコンビニエンスストア最大手であるセブン-イレブン本部と、その加盟店の間でおこった裁判である。
フランチャイザー(本部)対フランチャイジー(加盟店)では日本初の本格的な法廷闘争であり、セブン-イレブンに限らず、現在のコンビニエンスストア業界の会計方式が世間一般に知られるようになったきっかけの裁判でもある。
概要
コンビニエンスストアにおける損益計算は、企業会計上で一般的に行われている計算と違い、廃棄ロス(販売期限切れや汚破損などで販売できなくなった商品)や棚卸しロス(帳簿上の在庫と実際の在庫の差)にもロイヤリティーをかける悪慣習がある。そのことについて、宮城県内でセブン-イレブン店を運営しているオーナーら5名が、同本部に対して損害賠償を求めた裁判である。
平成17年2月24日、東京高等裁判所は加盟店オーナーの言い分を認めセブン-イレブン本部に約2,243万円の支払いを命じる判決を出す[1]。しかし、セブン-イレブン側はこの判決を不服とし上告。
平成19年6月11日、最高裁判所は東京高裁の先判決を破棄し差戻す判決をし、事実上、セブン-イレブン本部の逆転勝訴となった。
裁判の争点
ロスチャージとは廃棄ロスや棚卸ロスした商品に対して、契約に基づいて加盟店が仕入れ金額の全額(=仕入れ金額の原価と負担となるように(つまり、本部の仕入れ負担が発生しないように)粗利を算出し、この粗利に基づいて加盟店がロイヤリティを支払う取り決めである。
一般的な企業会計上の基準ではこの様な算定がされていなかったり、フランチャイズ契約書に記載がない事(実際は記載されている)が最高裁まで争われたが、契約書や契約締結前の事前説明で認識できるものとの判断を下し、加盟店側の訴えを退けた。
この会計基準は2018年現在のコンビニ大手チェーンでも採用されている。
脚注
- ^ セブンイレブン廃棄ロス訴訟、本部敗訴も報道されず - マイニュースジャパン、2005年8月24日
関連項目
外部リンク
- 最高裁判所第二小法廷判決平成19年6月11日最高裁判所裁判集民事224号521頁、平成17年(受)第957号『不当利得返還請求事件』(判例情報。2018年1月12日閲覧)
ロスチャージ裁判
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「セブン-イレブン」の記事における「ロスチャージ裁判」の解説
詳細は「ロスチャージ裁判」を参照 ロスチャージとは、賞味期限切れで廃棄された商品に対して、契約に基づき仕入れ原価加盟店が全額負担になるように粗利を算出し、この粗利に基づいて加盟店がロイヤリティを支払う取り決めである。このことが詐欺にあたる不当請求だとして、加盟店側がセブン-イレブン本部を訴えた。しかし、加盟店が自己の責任において商品の仕入れを行っていることを理由として、加盟店側の訴えは退けられている。 一般会計上基準ではこのような算定がされていなかったり、本部側の契約書に記載がないことと的外れな主張を展開した裁判であったが説明があったかが争点となって最高裁まで争われたが、契約書や事前説明で認識できると加盟店の敗訴が確定した。 セブン-イレブン本部が発足してからの20数年で、少なくとも30件以上の裁判が提起された。そのすべてがセブン-イレブン本部勝訴となり、上告されることもなく地方裁判所で終結している。ごく一部に高等裁判所で係争することもあったが、多くの事例でセブン-イレブン本部勝訴となった。商品の注文量について本部側のスタッフ側の強い指導により、加盟店側が注文量を加減するのが難しいことも争点とされていた。2005年(平成17年)2月24日、東京高等裁判所で加盟店が初めて勝訴したが、この裁判は最高裁判所で2007年(平成19年)6月に判決が下され勝訴が取り消された。
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