ルーターに配付されるIPアドレスの種別変更
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/09 14:58 UTC 版)
「IPアドレス枯渇問題」の記事における「ルーターに配付されるIPアドレスの種別変更」の解説
プロバイダから契約者へのルーターに配付されるIPアドレスの種別がグローバルアドレスから、ISP Shared Address (RFC 6598 100.64/10) または、プライベートアドレス (RFC 1918 10/8,172.16/12,192.168/16) になる場合がある。プロバイダによっては、グローバルアドレスを使用し続けるには、追加料金が発生する場合がある。IPアドレスの種別を変更するのは、限られた資源であるIPアドレス (IPv4) の個別ユーザへの配付をやめることにより、新規のサーバーにIPv4のIPアドレスを割り振ったり、将来の接続ユーザ数の増加に対応したりするためである。例えば、既にUQ WiMAXでは約款を修正し、IPv4のグローバルアドレスではなく、プライベートアドレスを配付することがあることを明示している。 場合によっては(ISP Shared Addressやプライベートアドレスを使いたくない場合)、IPv6を使わざるを得なくなる場合も生じうる。 これによって、次のような影響が生じる。 ルーターの変更ルーターに割り当てられるIPアドレスの種別が変更されることにより、ルーターの設定変更が必要になる。プロバイダによっては、IPv6対応のために、CPE (Customer Premises Equipment) を構成するルーターなどへの買い替え、または、接続用アプリケーションの新規追加が必要になる場合がある。 アプリケーションの変更使用しているアプリケーションが使用できなくなる可能性がある。ルーターに割り当てられるIPアドレスの種別がグローバルアドレスであることを期待しているアプリケーションでは、ルーターのアドレス種別が変更されることにより、通信ができなくなって使用できなくなるアプリケーションがでてくる。UPnPなどによりNATによる影響を回避しているアプリケーションでは、IPアドレスの種別が変更され多段NAT構成(ラージスケールNAT)になった場合に、対応できない。特にP2Pにより、端末間で直接通信を行うタイプのアプリケーションについては、影響が大きい。 WebサイトやWebアプリケーションの変更IPv4でアクセスされることを前提にしているウェブサイトやWebアプリケーションでは、サーバーがIPv6でアクセス可能になった場合に、IPv6への対応が必要になる。具体的には、IPv4のIPアドレスでセッションの管理をしている場合に、単一のIPv4のIPアドレスで複数のユーザが同時にアクセスしている場合の対応や、IPv6でアクセスしている場合の対応が必要となる。 既存ユーザの既得権益の侵害現在、大きな制限もなくIPv4のIPアドレスを使用している既存ユーザにとって、IPアドレスの共有を強制されることは、既得権益の侵害としてうつる。現在は、実際にIPアドレスの共有を強制されるような計画が公開されていないため、問題視されていない。しかし、このような計画が発表されれば、既存ユーザの反発が予想され、賠償請求訴訟や計画の停止を求める訴訟問題に発展する可能性がある。
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