リア・ファル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/21 04:33 UTC 版)
リア・ファル(アイルランド語: Lia Fail 運命の石、又はリア・ファイル en:Lia Fáil)とは、ケルト神話、ダーナ神族に登場するエリンの四秘宝のひとつ。戴冠石、聖なる石、フォールの聖石とも呼ばれる。
『アイルランド来寇の書』等によれば、トゥアハ・デ・ダナーン神族が、北方四島の四都市のひとつファリアス(Falias)から、アイルランドにもたらした岩で、王都タラ(Temair)に所在した。正当な王が戴冠式で立てば叫び声を上げ予言をすると言われる[1]。
しかし、「大いなるファル」(アイルランド語: Fál mór)とも称されるこの岩は、キリスト誕生の際に効力を失ったため、クー・フリンのためにもその養子ルギド(ルゲイド)のためにも叫んではくれなかった。そのためクー・フリンは岩を殴り、「ファルの心髄」(アイルランド語: críde fáil 英語: Heart of Fal)は、タルトゥ(=現今Telltown)まで飛んで行ってしまったという。また、それ以降は、伝説の上級王百戦のコンの即位まで叫ぶことはなかったとされる[2]。
スコットランドの史家ジョン・オヴ・フォーダン(1384年没)著の増訂版『Scottichronicon』やヘクター・ボイス著『Historia Gentis Scotorum』(1527年)[3]らは、スコットランドの戴冠石であるスクーンの石は、アイルランドから持ち出されたリア・ファイルと主張したが、これは否定されている。
後のアーサー王伝説では選定の剣カリバーンの刺さる岩のモデルとなり、ケルト/ドルイド魔術の源流として小アルカナのタロットにおけるペンタクル(トランプのダイヤ)のモチーフともなる。
関連項目
- トゥアハ・デ・ダナーン(ダーナ神族)
- スクーンの石
資料
- ^ Macalister, R. A. S., 編訳 Lebor Gabála Érenn ¶305 原文:"A Failias tucadh in Lia Fail fil i Temrig, no geissidh fo cach rig no gebidh Erinn."英訳:"..From Failias was brought the Lia Fail which is in Temair, and which used to utter a cry under every king that should take Ireland. "
- ^ Macalister, R. A. S., 編訳¶309 "..until Cu Chulainn smote it, for(a) it uttered no cry under him nor under his fosterling, Lugaid son of the three Finds of Emain. (中略)Then its heart flew out from it [from Temair] to Tailltiu, so that is the Heart of Fal.. "
- ^ Patrick Weston Joyce, "The Lia Fail and the Westminster Coronation Stone," Irish Monthly 12, (1884) p.325-ほか
リアファル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/03/26 04:16 UTC 版)
リアファル | ||||||
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![]()
2015年神戸新聞杯
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欧字表記 | Lia Fail[1] | |||||
品種 | サラブレッド[1] | |||||
性別 | 牡[1] | |||||
毛色 | 鹿毛[1] | |||||
生誕 | 2012年2月5日(11歳)[1] | |||||
抹消日 | 2018年12月5日[2] | |||||
父 | ゼンノロブロイ[1] | |||||
母 | クリソプレーズ[1] | |||||
母の父 | エルコンドルパサー[1] | |||||
生国 | ![]() |
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生産者 | ノーザンファーム[1] | |||||
馬主 | (有)キャロットファーム[1] | |||||
調教師 | 音無秀孝(栗東)[1] | |||||
競走成績 | ||||||
生涯成績 | 16戦4勝 (中央)15戦4勝 (地方)1戦0勝[1] |
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獲得賞金 | 1億5010万円5000円[1] (中央)1億4310万5000円 (地方)700万円 |
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リアファル(愛: Lia Fail[1])は、日本の競走馬。主な勝ち鞍は2015年の神戸新聞杯(GII)。馬名の意味は「戴冠石。ケルト神話、ダーナ神族に登場するエリンの四秘宝のひとつ」[3]。
戦績
2012年2月5日に北海道安平町のノーザンファームで誕生。一口馬主法人「キャロットクラブ」より総額5000万円(1口12.5万円×400口)で募集され[4]、半兄クリソライトと同じノーザンファーム空港牧場の樋口政春厩舎で育成された。育成中から兄よりも柔らかい走りを見せており、芝への適性も見込まれていた[5]。
クリソライトと同じく栗東・音無秀孝厩舎に入厩し、2014年12月13日の新馬戦(阪神ダ1800m)で北村友一を背にデビューし、2着バスタータイプをゴール前で競り落として新馬勝ちする[6]。
皐月賞トライアルの若葉ステークスへの出走も検討されたこともあったが、ソエの影響で3歳春までは一貫してダート路線を歩んだ。ソエが完治し[7]、デビュー7戦目にして初の芝レースとなったマレーシアカップ(1600万下)で、古馬相手に逃げ切り勝ちを収める。この結果を受け、音無師は菊花賞路線への挑戦を決意する[8]。
芝2戦目の神戸新聞杯でも鞍上のクリストフ・ルメールが促すことなくハナに立ち、1000m通過62秒4の緩やかな流れを作る[8]。そこから上がり3ハロンを34秒1でまとめ、春のクラシック戦線で好走したリアルスティールに2馬身半差をつけて重賞初制覇を果たした[7]。迎えた菊花賞では8枠17番からの発走となったが1番人気に推される。前半は2番手を進むが、向こう正面からの乱ペースで消耗し、キタサンブラック、リアルスティールから僅かに遅れて3着となる[9]。
年末の有馬記念では前走敗れたキタサンブラックを上回り、ゴールドシップ、ラブリーデイに次ぐ3番人気に支持される。事前の追い切りの走りも良く、継続騎乗のルメールも自信を示していたが[10]、レースでは2周目4コーナーから急激に後退し、最下位の16着に沈んだ。レース後の簡易検査では左肩ハ行と診断され[11]、年明けに改めて腱鞘炎のため6ヶ月以上の休養を要すると診断された[12]。
復帰戦の金鯱賞では勝ち馬ヤマカツエースから0秒2差の5着に入るが、次戦のアメリカジョッキークラブカップでは鞍上のヴァンサン・シュミノーも首をかしげる急失速で1着タンタアレグリアから3秒1も離された13着に大敗[13]。その後、右前脚に故障が判明し、再び長期休養に入った[14]。
約1年の休養を経て2018年1月に復帰。久々にダート戦を使われるなど試行錯誤がなされたが、かつての走りを取り戻すことはできなかった。右前脚繋部分の屈腱炎のため、2018年12月5日にJRAの競走馬登録を抹消された[2]。現役引退後は千葉県のオリンピッククラブ富里トレーニングファームにて乗馬となっている[15]。
競走成績
以下の内容はnetkeiba.comの情報[16]に基づく。
競走日 | 競馬場 | 競走名 | 格 | 距離(馬場) | 頭 数 |
枠 番 |
馬 番 |
オッズ (人気) |
着順 | タイム (上がり3F) |
着差 | 騎手 | 斤量 [kg] |
1着馬(2着馬) | 馬体重 [kg] |
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2014.12.13 | 阪神 | 2歳新馬 | ダ1800m(良) | 9 | 8 | 9 | 2.2 (1人) | 1着 | 1:56.8(38.2) | -0.1 | 北村友一 | 55 | (バスタータイプ) | 512 | |
2015. 1. 5 | 京都 | 3歳500万下 | ダ1800m(稍) | 8 | 5 | 5 | 4.5 (3人) | 6着 | 1:54.9(36.1) | 0.8 | 松若風馬 | 54 | マイネオフィール | 514 | |
1.18 | 京都 | 3歳500万下 | ダ1800m(重) | 14 | 8 | 13 | 12.6 (4人) | 1着 | 1:52.1(36.8) | -0.4 | 北村友一 | 56 | (ジュンスパーヒカル) | 506 | |
4. 5 | 中山 | 伏竜S | OP | ダ1800m(稍) | 14 | 7 | 11 | 14.2 (6人) | 2着 | 1:53.0(37.5) | 0.0 | 北村友一 | 56 | クロスクリーガー | 508 |
5. 6 | 園田 | 兵庫CS | GIII | ダ1870m(良) | 12 | 3 | 3 | 2.6 (2人) | 2着 | 2.01.9(39.4) | 1.5 | 北村友一 | 56 | クロスクリーガー | 512 |
5.24 | 京都 | 鳳雛S | OP | ダ1800m(良) | 10 | 5 | 5 | 1.5 (1人) | 3着 | 1:51.5(37.7) | 0.2 | 北村友一 | 56 | ライドオンウインド | 512 |
7.18 | 中京 | マレーシアC | 1600万下 | 芝2000m(重) | 17 | 7 | 13 | 13.3 (5人) | 1着 | 2:03.4(34.3) | -0.3 | C.ルメール | 54 | (マローブルー) | 500 |
9.27 | 阪神 | 神戸新聞杯 | GII | 芝2400m(良) | 15 | 4 | 6 | 8.0 (3人) | 1着 | 2:26.7(34.1) | -0.3 | C.ルメール | 56 | (リアルスティール) | 506 |
10.25 | 京都 | 菊花賞 | GI | 芝3000m(良) | 18 | 8 | 17 | 3.1 (1人) | 3着 | 3:04.0(35.3) | 0.1 | C.ルメール | 57 | キタサンブラック | 506 |
12.27 | 中山 | 有馬記念 | GI | 芝2500m(良) | 16 | 6 | 12 | 5.6 (3人) | 16着 | 2:35.5(37.4) | 2.5 | C.ルメール | 55 | ゴールドアクター | 506 |
2016.12. 3 | 中京 | 金鯱賞 | GIII | 芝2000m(良) | 13 | 5 | 6 | 7.1 (3人) | 5着 | 1:59.9(33.7) | 0.2 | A.シュタルケ | 56 | ヤマカツエース | 524 |
2017. 1.22 | 中山 | AJCC | GII | 芝2200m(良) | 17 | 7 | 13 | 4.0 (2人) | 13着 | 2:15.0(39.0) | 3.1 | V.シュミノー | 56 | タンタアレグリア | 522 |
2018. 1. 7 | 中山 | ポルックスS | OP | ダ1800m(良) | 16 | 5 | 10 | 9.4 (4人) | 9着 | 1:53.7(39.2) | 1.3 | 津村明秀 | 56 | アルタイル | 524 |
1.27 | 東京 | 白富士S | OP | 芝2000m(稍) | 10 | 6 | 6 | 12.3 (5人) | 6着 | 2:00.0(35.3) | 1.0 | 内田博幸 | 56 | マイネルハニー | 524 |
5. 6 | 東京 | ブリリアントS | OP | ダ2100m(良) | 16 | 5 | 10 | 19.5 (7人) | 4着 | 2:11.1(37.6) | 0.3 | H.ボウマン | 57 | フェニックスマーク | 522 |
8.25 | 新潟 | BSN賞 | OP | ダ1800m(良) | 12 | 1 | 1 | 4.4 (1人) | 4着 | 1:52.3(36.9) | 0.5 | 石橋脩 | 57 | サルサディオーネ | 520 |
血統表
リアファルの血統 | (血統表の出典)[§ 1] | |||
父系 | サンデーサイレンス系 |
[§ 2] | ||
父
ゼンノロブロイ 2000 黒鹿毛 |
父の父
*サンデーサイレンスSunday Silence 1986 青鹿毛 |
Halo | Hail to Reason | |
Cosmah | ||||
Wishing Well | Understanding | |||
Mountain Flower | ||||
父の母
*ローミンレイチェルRoamin Rachel 1990 鹿毛 |
*マイニング | Mr. Prospector | ||
I Pass | ||||
One Smart Lady | Clever Trick | |||
Pia's Lady | ||||
母
クリソプレーズ 2002 黒鹿毛 |
*エルコンドルパサー 1995 黒鹿毛 |
Kingmambo | Mr. Prospector | |
Miesque | ||||
*サドラーズギャル | Sadler's Wells | |||
Glenveagh | ||||
母の母
*キャサリーンパーCatherine Parr 1987 青鹿毛 |
Riverman | Never Bend | ||
River Lady | ||||
Regal Exception | Ribot | |||
Rajput Princess | ||||
母系(F-No.) | 16号族(FN:16-a) | [§ 3] | ||
5代内の近親交配 | Mr.Prospector4×4=12.50% | [§ 4] | ||
出典 |
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- 半兄に2013年ジャパンダートダービー優勝馬クリソライト(父:ゴールドアリュール)、半姉に2015年エリザベス女王杯・2016年宝塚記念優勝馬マリアライト(父:ディープインパクト)、半弟に2019年ジャパンダートダービー・チャンピオンズカップ・2020年帝王賞・JBCクラシック優勝馬クリソベリル(父:ゴーリドアリュール)がいる[17]。
- 母クリソプレーズの全弟にジャパンカップダート勝ちのあるアロンダイトがいる[17]。
- 近親にフラワーカップ勝ちのあるイブキニュースターやジャパンカップ3着のエスプリデュノール、京都記念などを制したダンビュライト、東京新聞杯勝ち馬ブラックスピネルがいる[17]。
脚注
注釈
出典
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o “リアファル”. JBIS-Search. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2020年1月31日閲覧。
- ^ a b “【JRA】リアファルが屈腱炎のため引退、2015年神戸新聞杯覇者”. netkeiba.com (2018年12月5日). 2019年10月14日閲覧。
- ^ “競走馬登録馬名簿・馬名意味”. JRA. 2019年10月14日閲覧。
- ^ “リアファルの新馬データ”. netkeiba.com. 2019年10月14日閲覧。
- ^ “2015年09月27日 神戸新聞杯 G2”. 競走馬のふるさと案内所. 2019年10月14日閲覧。
- ^ “リアファルが人気に応える 半兄はG1馬クリソライト…阪神新馬”. 競馬ラボ (2014年12月13日). 2019年10月14日閲覧。
- ^ a b “リアファル菊花賞へ、音無師「胸を張って行ける」/神戸新聞杯”. デイリースポーツ (2015年9月28日). 2019年10月14日閲覧。
- ^ a b “リアファルは最後の一冠狙える器 音無調教師に聞く芝転向の真相と手応え”. netkeiba.com (2015年10月23日). 2019年10月14日閲覧。
- ^ “【菊花賞】(京都)~キタサンブラックがクビ差制してGI初制覇”. ラジオNIKKEI (2015年10月25日). 2019年10月14日閲覧。
- ^ “【有馬記念】ルメール「リアファルが一番」”. サンケイスポーツ (2015年12月18日). 2019年10月14日閲覧。
- ^ “有馬記念16着リアファルの簡易検査の結果”. サンケイスポーツ (2015年12月29日). 2019年10月14日閲覧。
- ^ “有馬記念16着のリアファルに腱鞘炎が判明”. 競馬ラボ (2016年1月4日). 2019年10月14日閲覧。
- ^ “【AJCC】2番人気リアファル、急失速で13着”. サンケイスポーツ (2017年1月23日). 2019年10月14日閲覧。
- ^ “リアファルが2度目の故障で金鯱賞回避”. デイリースポーツ (2017年3月8日). 2019年10月14日閲覧。
- ^ “オリンピッククラブ@olympicclub01”. Twitter (2018年12月8日). 2019年10月14日閲覧。
- ^ “リアファル”. netkeiba.com. 株式会社ネットドリーマーズ. 2019年10月14日閲覧。
- ^ a b c “リアファルの血統表”. netkeiba.com. 2019年10月14日閲覧。
外部リンク
- リア・ファルのページへのリンク