内乱記とは? わかりやすく解説

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内乱記

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/21 02:10 UTC 版)

内乱記』(ないらんき、: Commentarii de Bello Civili)は、『ガリア戦記』の続篇であり、共和政ローマ末期の政治家・軍人のガイウス・ユリウス・カエサルが自らの手で書き記した、ローマ内戦の記録である。カエサルのポンペイウス元老院に対する闘争が描かれる。

概要

紀元前49年1月のローマ内戦開始(ルビコン川渡河)から、翌紀元前48年9月のポンペイウスの死、10月のカエサルのエジプトアレクサンドリア)上陸、そして11月のポティヌス殺害までの約2年間が記述されている。(ここから先の記録の続篇は、アウルス・ヒルティウスによる『アレクサンドリア戦記』[1]で描かれる。)

原題は、『ガリア戦記』と共に、『ガイウス・ユリウス・カエサルの業績に関する覚書』(: C.Iulii Caesaris Commentarii Rerum Gestarum)であり、後に便宜上、『ガリア戦記』の方を「~ de Bello Gallico」、『内乱記』の方を「~ de Bello Civili」等と区別するようになっていったと推測される[2]

構成

現在刊行されている全ての校訂本は、写本の伝統に則り、全3巻で構成されているが、『ガリア戦記』にも見られるように、カエサルの記録は概して一年を一巻にまとめる形式のため、本来は、共に紀元前49年について述べている現在の第1巻と第2巻が一つの巻を成し、紀元前48年について述べている現在の第3巻との二巻本だったと考えられる[2]

紀元前49年(第1巻-第2巻)は、主にイタリア半島からヒスパニア(スペイン)にかけてを舞台とした戦闘に関する記述で占められる。紀元前48年(第3巻)は一転して、ポンペイユスが逃げ込んだバルカン半島ギリシア)を舞台とした戦闘に関する記述で占められる。

  • 第1巻(紀元前49年1月-7月)
  • 第2巻(紀元前49年8月-10月)
  • 第3巻((紀元前49年12月-) 紀元前48年1月-11月)
    • 12月 - カエサル、ローマからブルンディシウムへ。
    • 1月 - カエサル、ブルンディシウムから出航し、パラエステに上陸。オリクム→アポッロニア占領、アプスス川近傍に設営。
    • 3月 - アントニウス、ニュンパエウムに上陸。
    • 4月 - カエサルとアントニウス合流。ポンペイウスをドゥラキウムで包囲。
    • 6月 - ポンペイウス、包囲網突破の試み。
    • 7月 - ポンペイウス、包囲網突破に成功。カエサル、アポッロニアを経てテッサリア地方へ。ゴンピ攻略、メトロポリス占領。パルサルスに野営設置。
    • 8月 - ファルサルスの戦い。カエサル、ラリサに到着。ポンペイユス、アンピポリスミュティレネへ移動。
    • 9月 - カエサル、アジアへ移動。ポンペイユス、キプロス島→エジプト(アレクサンドリア)へ移動後、殺される。
      ---
    • 10月 - カエサル、アレクサンドリアに到着、プトレマイオス13世クレオパトラ7世を呼びつける。
    • 11月 - アキッラス、プトレマイオス13世の使者を殺し、カエサルを包囲する。カエサル、エジプト艦隊を焼き、ポティヌスを殺させる。

日本語訳

脚注・出典

  1. ^ 訳は『アレクサンドリア戦記・アフリカ戦記・ヒスパーニア戦記 カエサル戦記集』(高橋宏幸訳、岩波書店、2016年)
  2. ^ a b 國原 講談社 p.243

関連項目




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