ヨーロッパ革命先行論からロシア革命先行論へ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/15 15:49 UTC 版)
「一国社会主義論」の記事における「ヨーロッパ革命先行論からロシア革命先行論へ」の解説
カール・マルクスとフリードリヒ・エンゲルスは、当初、共産主義革命はヨーロッパの先進国で起こってその他の地域に波及していくものと予想していた。エンゲルスは1847年に書かれた『共産主義の原理』という草稿で次のように論じていた。 共産主義革命は、けっしてただ一国だけのものでなく、すべての文明国で、いいかえると、すくなくとも、イギリス、アメリカ、フランス、ドイツで、同時におこる革命となるであろう。〔…〕それは、世界の他の国々にも同じようにいちじるしい反作用をおよぼし、それらの国々のこれまでの発展様式をまったく一変させ、非常に促進させるだろう。それは一つの世界革命であり、したがって世界的な地盤でおこるだろう。 しかし1882年に書かれた『共産党宣言』のロシア語版序文では、マルクスとエンゲルスは「ロシアはヨーロッパの革命的活動の前衛となっている」という認識を示し、「ロシア革命が西ヨーロッパにおけるプロレタリア革命の合図となり、その結果、両者がたがいにおぎないあう」可能性に言及した。 1905年のロシア第一革命の際、ロシアのマルクス主義者たちはこのマルクス・エンゲルスの認識から出発し、ロシアの革命がヨーロッパの先進国の革命を引き起こす、と主張した。もっとも明確にそれを述べたのがレフ・トロツキーの永続革命論だった。 ロシア革命は、ブルジョワ自由主義の政治家たちが完全な形でその政治的才能を展開する可能性をうる以前に、権力がプロレタリアートの手に移りうる(革命の勝利の際には移らねばならぬ)という条件をつくり出している。 ロシアのプロレタリアートは、一時その手中に権力を握ったのち、自分自身のイニシアティヴでヨーロッパの土壌に革命を移植しようとしなくても、ヨーロッパの封建的・ブルジョワ的反動によって、そうすることを余儀なくされるであろう。 この見解では、革命はヨーロッパの先進国より先にロシアで起こる。しかしロシアの革命政権が持続するためにはヨーロッパ革命が起こらなければならない。
※この「ヨーロッパ革命先行論からロシア革命先行論へ」の解説は、「一国社会主義論」の解説の一部です。
「ヨーロッパ革命先行論からロシア革命先行論へ」を含む「一国社会主義論」の記事については、「一国社会主義論」の概要を参照ください。
- ヨーロッパ革命先行論からロシア革命先行論へのページへのリンク