ユダヤ人の協力
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/07 02:50 UTC 版)
「リトアニアにおけるホロコースト」の記事における「ユダヤ人の協力」の解説
ホロコーストの背景には、ドイツ人やリトアニア人のほかにユダヤ人自身による事件への関与もあった。 ゲットーの中では「ユダヤ警察」と呼ばれるユダヤ秩序維持隊が秩序の維持にあたっており、彼らはドイツ人からの指令を直接実施する立場にいた。カウナスのゲットーでは 60 人のユダヤ警察官が存在していた。 またヴィリニュスのゲットーではナチス・ドイツによってユダヤ長老会(ユーデンラート)というユダヤ人の自治機関が設置されたが、これは名目上は地域のユダヤ社会を代表する評議会ではあったものの実質的にはドイツ当局の指令を実行に移すための組織であったことから、「ユダヤ人絶滅プロセスに加担して、ユダヤ人を裏切った組織」であると指摘される。彼らはどのユダヤ人を絶滅拠点に移送するかを記したリストの作成まで行っていた。 ただし彼らは自民族の根絶を目的に行動していたわけではなく、あくまでユダヤ人を救うためナチスに協力せざるを得なかったのであった。例えばヴィリニュスのユダヤ長老会議長兼ユダヤ警察長のヤクフ・ゲンスは、 我々の任務は、若く、力のあるもの〔ユダヤ人〕を救うため感情に支配されないことである。私の言うことを皆が理解するかどうか、またゲットーから解放される時に我々のしたことがどう判断されるか、私には分からない。しかし警察としては可能な限り、人を救うために個人的感情は無視すべしと考えている。 と証言している。すなわち彼は、ユダヤ社会全体を救うためにはその一部の犠牲はやむを得ないと考えていたのであった。
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