メリト酸とは? わかりやすく解説

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メリト酸

分子式C12H6O12
その他の名称メリ酸、メリト酸、Mellic acid、Mellitic acid、Benzenehexacarboxylic acidメリット酸Benzene-1,2,3,4,5,6-hexacarboxylic acid
体系名:ベンゼンヘキサカルボン酸、ベンゼン-1,2,3,4,5,6-ヘキサカルボン酸


メリト酸

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/12 02:37 UTC 版)

メリト酸[1]
識別情報
3D model (JSmol)
ChemSpider
ECHA InfoCard 100.007.495
CompTox Dashboard (EPA)
特性
化学式 C12H6O12
モル質量 342.16 g/mol
示性式 C6(COOH)6
密度 1.68 g/cm3, 2.078 (calc.)[2]
融点

>300 °C

沸点

678 °C (calc.)[2]

特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

メリト酸(メリトさん、mellitic acid)は、黒鉛酸(こくえんさん、graphitic acid)、あるいはベンゼンヘキサカルボン酸(benzene hexacarboxylic acid)とも呼ばれる芳香族性を持ったカルボン酸の1種である。ベンゼンの水素が全てカルボキシ基に置換された構造をしている。

概要

メリト酸は、化学式 C6(CO2H)6 で表される。マルティン・ハインリヒ・クラプロートによって、1799年に蜜蝋石(ハニーストーン、メライト…組成式 Al2C6(COO)6·16H2O)という鉱物からアルミニウム塩として見出された。

蜜蝋石を炭酸アンモニウムと共に加熱し、過剰のアンモニウム塩を蒸発させて除き、アンモニアを加えるとメリト酸アンモニウムが得られる。沈殿したアルミナを濾別してから濾液を蒸発させ、再結晶する。次に酢酸鉛(II) を加えて鉛塩とし、さらに硫化水素で分解すると、遊離のメリト酸が得られる。純粋な炭素、あるいはヘキサメチルベンゼンを過マンガン酸カリウムの冷アルカリ性溶液や熱濃硝酸で酸化することによっても合成できる[3][4]

繊維状の細かい針状結晶で、水やアルコールに溶ける。非常に安定な化合物であり、塩素、濃硝酸、塩酸とは反応を起こさない。加熱すると二酸化炭素ピロメリト酸 (C6H2(CO2H)4-1,2,4,5) に分解する。石灰と共に熱すると二酸化炭素とベンゼンに分解する。過剰量の五塩化リンを共存させて長期間放置すると酸塩化物になり、これは融点 190 ℃ の針状結晶である。アンモニウム塩を 150–160 ℃ に加熱するとアンモニアの遊離と共に反応が起こり、パラミド(メリミド)、C6(CONH)3、アンモニウムユークロアート (ammonium euchroate) の混合物が生成する。この混合物はアンモニウムユークロアートを水に溶解させることによって分離できる。パラミドは白色の不定形粉末で、水やアルコールに溶けない。

無水物

無水メリト酸 (C6(C2O3)3) は、一酸化炭素二酸化炭素などと同様に炭素酸素だけで構成される物質である。

脚注

  1. ^ MSDS for mellitic acid
  2. ^ a b Curate Data: Predicted Properties: 2244. ChemSpider.com.
  3. ^ Schulze, F. "Einwirkung des Schwefels auf Benzol". Chem. Ber. 1871, 4, 33–34.
  4. ^ Friedel, C.; Crafts, J. M. Ann. Chim. Phys. 1884 6, 470.

参考文献

関連項目


メリト酸

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/26 03:45 UTC 版)

蜜蝋石」の記事における「メリト酸」の解説

芳香族カルボン酸一種であるメリト酸はマルティン・ハインリヒ・クラプロートによって、1799年にこの鉱物から得られた。彼が得たのはアルミニウム塩である。

※この「メリト酸」の解説は、「蜜蝋石」の解説の一部です。
「メリト酸」を含む「蜜蝋石」の記事については、「蜜蝋石」の概要を参照ください。

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