メタグラフィー/メタフィジックな心象絵画
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/01 18:12 UTC 版)
「水井康雄」の記事における「メタグラフィー/メタフィジックな心象絵画」の解説
メタグラフィーは、水井によってみいだされた絵画テクニックである。紙またはある二枚の物質の間に押された絵の具が思いがけないファンタジィな自然現象をもたらすことは周知のことである。しかし 水井の試みは、この偶然とおもわれる現象の因果関係を分析し認識しようとするところにある。すなわち技術の開発と訓練によって、これらの現象を意図の中に誘導し展開することへの試みである。メタとは、ギリシャ語を語源とする「高次な~」「超~」「~ 間の」「~を含んだ」「~の後ろの」等の意味の接頭語である。それは同時に、思索、変化、変容、超越を意味する。このテクニックにおいては、再度同じ絵画をつくり出すことは不可能である。絵の具の流れと瞬間のタイミングのなかのバランスを見極めるところで、最終的に絵画となる。これに似たテクニックで、プレスドオイル、プレスドスターチ、デカルコマーニがあるが、水井のメタグラフィーは使用材料および技術のうえでそれらとは異にするものである。国際美術評論家である長谷川栄は1984年(昭和60年)こう記している。「この作品を手にした私は、はじめは、雪の山の風景写真かな、とおもいました。しかしよくみてみますと、写真の風景ではありません。しかし、写真以上に、なにか精神に響くのもをもってます。寂しい雪山。しんしんと凍るしばれる空気。なにか哲学的な瞑想的な雰囲気がみなぎる、広がりをもった思索的絵画ではありませんか。」
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