メキシコ系アメリカ人とは? わかりやすく解説

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チカーノ

(メキシコ系アメリカ人 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/17 12:31 UTC 版)

チカーノスペイン語: Chicano)は、メキシコ系アメリカ人のアイデンティティのこと。狭義にはメキシコ系アメリカ人の2世以降を指すとすることもあるが、1世も含めることが多い。また、実際にはメキシコを出自としながら同国にそのアイデンティティを求めず、ヒスパニックアメリカンと自称するメキシコ系アメリカ人も存在する。西海岸のカリフォルニアや南部テキサスなど、メキシコとの国境に位置する州の居住者が多い。

概要

起源としては、ナワトル語の Mexitri のスペイン語派生語が言語学者の間で信じられている。メシカという単語の語源 Mexihcatl は単数形である。メキシカーノ(スペイン語ではメヒカーノ)の最初の音節が失われてチカーノとなったという説が有力となっている[1]。チカーノは、20世紀初頭にメキシコ系労働者たちを指してその雇い主が使った差別用語として始まり、その後メキシコ本土にも低所得者層を指す言葉として広まった。チカーノの起源については諸説あるが、コミュニティではチカーノのアイデンティティを主張する傾向が依然として強いとされている[2]

1960から70年代に、メキシコ系アメリカ人が起こした文学的およびチカーノ運動と呼ばれる一連の政治的運動において、チカーノは民族の誇りを示す言葉となった。彼らはこの時代に、民族としてのアイデンティティを持ち始めたとも言える。

チカーノの文化と音楽

音楽を中心とした、イーストロサンゼルスやテキサス州のチカーノ文化は特に有名である。1950年代、1960年代のリッチー・ヴァレンス[注釈 1]、ハニバル&ヘッドハンターズ、プレミアーズ、ジー・ミッドナイターズなどは、メキシコ系アメリカ人によるロックを演奏したミュージシャンだった。[3] その後、サンタナ[注釈 2]、ウォー、チーチ&チョン[注釈 3]、エル・チカーノ、マロ、サポらが音楽文化を引き継いだ。チカーノの低所得層の若者は黒人たちと交流を持ち、近接した文化圏を持っている。カリフォルニア州南部のロサンゼルスサンディエゴなどでは、ラッパーの一部にギャングスタ・ラッパーとなる者もいた。南カリフォルニアでは自動車産業に従事する者もおり、ローライダーと呼ばれる改造車を好んでいる。ウォー[4]が1975年に発表した「ロー・ライダー」は、この文化の存在を知らしめた。[5] 1980年代には、ロス・ロボス[注釈 4]などのロックバンドや、ティアラ(ティエラ)[注釈 5]、ロッキー・パディーヤらが活躍した。また、チカーノ・ラッパーでは、キッド・フロスト(現:フロスト)[注釈 6]、Ms.Krazie、Mr.Knightowl、Mr.Capone-E、Mr.クリミナルらが知られている。現地のローライダー専門マガジンとして、ローライダーマガジン英語版が発行された。チカーノによるソウル/R&Bは「ブラウン・アイド・ソウル」と呼ばれることもある。アメリカ南部のテキサス州を中心としたメキシコ人のルーツ音楽は、「テハーノ・ミュージック」(テックス・メックス)と呼ばれる。

チカーノの語義を再定義した人々

脚注

注釈

  1. ^ 「ラ・バンバ」がヒットしたが、事故により若くして死去した。
  2. ^ 1971年に「ブラック・マジック・ウーマン」がヒットしている
  3. ^ 1974年に「イアーエイク・マイ・アイ」がヒットした
  4. ^ 1987年に「ラ・バンバ」がヒットした。
  5. ^ イントゥルーダーズの曲をカバーした「トゥゲザー」など、スウィート・ソウルのカバーなどで知られている
  6. ^ 1990年に「ラ・ラーサ」がヒット
  7. ^ ベトナム反戦運動の時代に警察に殺害された。

出典

  1. ^ Mestiz@ Scripts, Digital Migrations, and the Territories of Writing|url=https://archive.org/details/mestizscriptsdig00baca%7Curl-access=limited%7Clast=Baca%7Cfirst=D.%7Cpublisher=Palgrave Macmillan|year=2008|isbn=9780230605152|pages=54
  2. ^ Zaragoza, Cosme. Aztlán: Essays on the Chicano Homeland. Revised and Expanded Edition. University of New Mexico Press. pp. 137. ISBN 9780826356758 
  3. ^ Biography”. AllMusic. 3 June 2024閲覧。
  4. ^ 「シスコ・キッド」などのヒット曲を持っている
  5. ^ Carnales Unidos Car Club – Lowrider Magazine  MotorTrend.com 2024年6月3日閲覧

関連項目


メキシコ系アメリカ人

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/12/10 21:24 UTC 版)

ザバラ郡 (テキサス州)」の記事における「メキシコ系アメリカ人」の解説

1910年メキシコ革命から大量移民労働者国境越えて郡内入り農作物生産するようになった1917年1918年にはメキシコ革命家パンチョ・ビリャリオ・グランデ川越えて無法者送り続けた。クリスタルシティでは自警団組織しビラから来た者に対す防衛図った1930年までにクリスタルシティは圧倒的にメキシコ系アメリカ人で構成されるようになっていた。同年、南テキサスの郡では最大となる労働者率(100農園に対して1,430人の労働者)と最低の借地農率(100農園に対して33借地農家となっていた。農園経営者イギリス系アメリカ人であり、小作農農園労働者ヒスパニックだった。1950年代末までに、郡内高校卒業する者の過半数はメキシコ系アメリカ人になった1990年、郡人口12,162人の89.4%はヒスパニックだった。

※この「メキシコ系アメリカ人」の解説は、「ザバラ郡 (テキサス州)」の解説の一部です。
「メキシコ系アメリカ人」を含む「ザバラ郡 (テキサス州)」の記事については、「ザバラ郡 (テキサス州)」の概要を参照ください。

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