ミサイルの発射方法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/10 23:32 UTC 版)
セル内でミサイルに点火して発射する方式をホットローンチ、ミサイルとは別のガス発生器で生成されたガスの圧力で射出し空中でミサイルに点火する方式をコールドローンチと呼ぶ。コールドローンチはロケットエンジンの排気と比較して相対的に冷たい事を意味するだけで、火薬の燃焼ガスなどを用いる機種では熱も発生する。 ホットローンチ式はミサイルが自分のエンジンでセル外部へ出て行くため、ガス発生器など付属装置が不要になる。部品点数が少ないため信頼性が高く小型軽量で、開発と製造にかかる費用も少ない。これは小型のミサイルを多数搭載する設計に有利となる。欠点として、ミサイルや排気装置が誤作動を起こした場合、発射管を焼損する危険がある。 コールドローンチ式はミサイルが誤作動を起こした場合の被害を抑える事ができる。一定以上の大型ミサイルは、ブースターを艦船の甲板上で安全に点火するのは困難なので、ミサイルが大型化するほどコールドローンチ式の安全性の恩恵が増える。 アメリカ製の水上艦のVLSは、ミサイルのセルを格子状に配置してセル毎に区切ったホットローンチ式であり、VLSの脇に長方形の排気口が設けられている(画像参照)。フランス、イタリアとイギリスはPAAMSシステム内で類似のホットローンチ式Sylverシステムを使用する。ロシアは格子型のほか、1基の発射装置で複数のミサイルを発射するリボルバー型を使用する。陸上発射や水上発射で安全性を重視する場合はトールミサイルシステムのようなコールドローンチ式を使用し、近代的なICBMとSLBMの大半はコールドローンチ式である。中華人民共和国では蘭州級駆逐艦が円形発射管によるコールドローンチ式を使用し、江凱II型(054A型)フリゲートでは1セルに1発を装填するホットローンチ式を使用している。
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