ミサとの関連
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/18 05:13 UTC 版)
「受胎告知 (ヤン・ファン・エイク)」の記事における「ミサとの関連」の解説
ファン・エイクら初期フランドル派の画家たちにとってのもう一つの主題がダルマティカ(広い袖をもった長いチュニック (en:Dalmatic))の上にガブリエルが着用しているコープ(典礼などのときに聖職者が羽織る非常に長いマント (en:Cope))で表現されている。人間であれば盛式ミサを行う執行司祭や助祭の特徴となる。マリアは上に福音書装飾写本やミサ典書のように大きく厚い書物が乗ったテーブルに向かい、「両手を広げて (expansis manibus)」いる。このマリアのポーズは突然のガブリエルの来訪とその知らせに驚き、不安がっていることを表しているが、同時にミサの最中に司祭がとるポーズでもある。この絵画は当時ネーデルラントでよく上演されており、福音朗読として受胎告知の場面もあった典礼劇「Missa Aurea」と関連性があるのではないかと考えられている。メアリを信徒と神との仲介者として描くのは初期フランドル派絵画では良く見られた表現であり、この絵画におけるマリアはミサを執り行う司祭としての役割を与えられている。マリアが自身の子供を失うという私的な犠牲は、ミサで司祭が成立させる儀式的な犠牲とみなすことも出来る。もっとも顕著な例がルーブル美術館に所蔵されている作品で、祭服を着用したマリアが祭壇の前でミサを執り行っている。それに比べればこの絵画におけるマリアの司祭としての役割はまだ少ないといえる。
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