マニューバリング・スピードに関する誤解
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/23 23:25 UTC 版)
「アメリカン航空587便墜落事故」の記事における「マニューバリング・スピードに関する誤解」の解説
事故調査が進むにつれて、設計上の設定速度の一つである「デザイン・マニューバリング・スピード」(design maneuvering speed) について、パイロットの多くが誤解していることが明らかになった。 設計においてマニューバリング・スピードとは、「加速度が1Gの状態から、パイロットが最大限度で、もしくは操縦装置のストッパーまで操縦入力を急激に加えても飛行機が耐えられる最大速度」である。飛行機を設計する際には、ピッチ(縦揺れ)、ロール(横揺れ)、ヨー(偏揺れ)の3軸それぞれについて別個に単一の最大入力が加わった場合を考える。アメリカの連邦航空規則(英語版) (FAR) における設計基準では、方向舵を繰り返し操作したり複数の舵面を併せて操作したりした場合は考慮せず、そのような場合の強度は保証されていない。実際に、事故機はマニューバリング・スピードを下回る速度で致命的な構造破壊が生じた。 事故調査の過程で、「デザイン・マニューバリング・スピードより低速であればラダーペダルをどのように操作しても構造的損傷が起きるような荷重は生じない」という誤った考えがパイロットの間に広がっていることが判明した。事故当時、高速飛行時の方向舵操作の危険性が、一般の多くのパイロットには十分には理解されていなかった。NTSBは、FAAが発行していたパイロット・ハンドブックや連邦航空規則にマニューバリング・スピードに対する誤解を招く表記があったと指摘している。
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