マニュファクチュールの定義
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/06/11 05:06 UTC 版)
「マニュファクチュール」の記事における「マニュファクチュールの定義」の解説
マニュファクチュールと呼ばれている時計メーカーでも、全製品を自社製ムーブメントで賄っているわけではなく自社製ムーブメントを使う製品ラインとムーブメントメーカーから調達したムーブメントを使う製品ラインを分けているメーカーがほとんどである。特にクロノグラフに関してはパテック・フィリップやロレックスでもムーブメントを自社製造できず、長らく外部からのムーブメント供給に頼ってきた。なお、ロレックスは2000年以降、自社開発・自社製造したクロノグラフ用ムーブメントCal.4130を使用している。 また、機械式時計の最も重要な基幹部品であるヒゲゼンマイの製造には極めて高度な技術力を要するため、ほとんどのマニュファクチュールでも自社製造できず、自社でヒゲゼンマイを製造していると公表している時計メーカーは世界でわずか数社のみである。世界最高級の時計をつくると評価されているパテック・フィリップをはじめとするスイス三大高級時計メーカーでも、ヒゲゼンマイは外部からの調達に依存しているのが実情である。 一方、セイコーやロレックスは針から文字盤、ケース、ヒゲゼンマイに至るまで全ての部品を自社で生産する「完全なマニュファクチュール」と呼べるメーカーである。また、シチズンも製造装置に始まりヒゲゼンマイ、ムーブメントに至るまで自社生産しており、2010年5月に約30年ぶりの新型自社ムーブメントを発表したことに伴い、改めてマニュファクチュール宣言をした。 近年は、ムーブメントの設計のみを行い、製造は他社に任せるファブレス・マニュファクチュールも増えてきている。またノモスのようにムーブメントメーカーからムーブメントの設計図とその使用権を購入して生産する会社も存在する。 また、自社製ムーブメントを謳っていてもムーブメントメーカーのムーブメントとの類似を指摘され流用を疑われる例がある。 以上に述べたようにマニュファクチュールとエタブリスールとの間にはっきりした境界線はなく、近年、時計メーカーや時計販売店がマーケティング用語として「マニュファクチュール」を乱用する傾向が続いている。
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