ボイヤー・リンキスト座標による表現とは? わかりやすく解説

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ボイヤー・リンキスト(Boyer-Lindquist)座標による表現

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/20 09:58 UTC 版)

カー解」の記事における「ボイヤー・リンキスト(Boyer-Lindquist)座標による表現」の解説

カー自身彼の論文の中で使った座標ではないが、カー計量ボイヤーR. H. Boyer)とリンキスト(R. W. Lindquist)によって導入され座標(ボイヤー・リンキスト座標)を用いて次のような形に書かれるのが一般的である。 d s 2 = − ( 1 − 2 M r Σ ) d t 24 a M r sin 2 ⁡ θ Σ d t d ϕ + Σ Δ d r 2 + Σ d θ 2 + ( r 2 + a 2 + 2 a 2 M r sin 2 ⁡ θ Σ ) sin 2 ⁡ θ d ϕ 2 {\displaystyle {\begin{aligned}ds^{2}=&-\left(1-{\frac {2Mr}{\Sigma }}\right)dt^{2}-{\frac {4aMr\sin ^{2}\theta }{\Sigma }}dtd\phi \\&+{\frac {\Sigma }{\Delta }}dr^{2}+\Sigma d\theta ^{2}+\left(r^{2}+a^{2}+{\frac {2a^{2}Mr\sin ^{2}\theta }{\Sigma }}\right)\sin ^{2}\theta d\phi ^{2}\end{aligned}}} ここで、 Σ = r 2 + a 2 cos 2 ⁡ θ , Δ = r 2 − 2 M r + a 2 {\displaystyle \Sigma =r^{2}+a^{2}\cos ^{2}\theta \,,\quad \Delta =r^{2}-2Mr+a^{2}\,} 座標範囲は、 − ∞ < t < ∞ {\displaystyle -\infty <t<\infty } 、 − ∞ < r < ∞ {\displaystyle -\infty <r<\infty } 、 0 ≤ θ ≤ π {\displaystyle 0\leq \theta \leq \pi } および 0 ≤ ϕ < 2 π {\displaystyle 0\leq \phi <2\pi } である。パラメーター M {\displaystyle M\,} や a {\displaystyle a\,} は、ブラックホールの質量 M {\displaystyle M\,} や角運動量 J = M a {\displaystyle J=Ma\,} と関係している。したがって、 M {\displaystyle M\,} は正の定数で、 a {\displaystyle a\,} は負になってもよい。回転していない場合( a = 0 {\displaystyle a=0\,} )、カー解は静的かつ球対称な解(シュヴァルツシルドの解)を再現する。さらに、 M = 0 {\displaystyle M=0} として質量を失くすと、平坦な時空(ミンコフスキー時空)となる。座標 r {\displaystyle r} を大きくしていくことにより、ミンコフスキー計量を再現することもできる。このことは、星から遠ざかれば遠ざかるほど星の重力は弱まっていくという直観的な理解と一致しており、漸近的平坦(asymptotically flat)であると言われる。一般には漸近的平坦という概念は自明ではない。カー計量と言うときは、ふつう、 M > 0 {\displaystyle M>0} および a ≠ 0 {\displaystyle a\neq 0} が想定されていることが多い。代数的な性質だけに注目したいときには座標パラメーター範囲をあえて忘れて取り扱うこともある。 計量中に座標 t {\displaystyle t} や ϕ {\displaystyle \phi } が現れないので、カー時空には ∂ / ∂ t {\displaystyle \partial /\partial t} および ∂ / ∂ ϕ {\displaystyle \partial /\partial \phi } の生成する等長変換群が作用する。それらの等長変換は t → t + d t {\displaystyle t\rightarrow t+dt} 、 ϕ → ϕ + d ϕ {\displaystyle \phi \rightarrow \phi +d\phi } という変換対応しているので、カー時空時間並進対称性定常性)と回転対称性軸対称性)を示している。また、カー計量は t → − t {\displaystyle t\rightarrow -t} 、 ϕ → − ϕ {\displaystyle \phi \rightarrow -\phi } というそれぞれの変換に対して g t ϕ {\displaystyle g_{t\phi }} 成分符号変えるだけで、2つ変換同時に行うと不変である。これは時間反転に対して回転方向がちょう反転されることを意味する。さらに、 a {\displaystyle a} の符号反転g t ϕ {\displaystyle g_{t\phi }} 成分符号変えるだけであるので、これもやはり回転方向反転させることに対応する。 ボイヤー・リンキスト座標による表現では、カー計量sin ⁡ θ = 0 {\displaystyle \sin \theta =0} となるところ( θ = 0 , π {\displaystyle \theta =0,\pi } )で定義されないことが分かる。さらに、 Σ = 0 {\displaystyle \Sigma =0} ( r = 0 {\displaystyle r=0} かつ θ = π / 2 {\displaystyle \theta =\pi /2} )または Δ = 0 {\displaystyle \Delta =0} となるところでも定義されない後で見るように、 Σ = 0 {\displaystyle \Sigma =0} となるところはリング状の特異領域になっているまた、 Δ = 0 {\displaystyle \Delta =0} となるところは事象の地平面event horizon)とよばれる場所であり、 Δ = 0 {\displaystyle \Delta =0} の実根の数によって、カー時空3つの場合分類されている。 | a | < M {\displaystyle |a|<M} のとき、 Δ = 0 {\displaystyle \Delta =0} の実根2つある。それらを r = r ± {\displaystyle r=r_{\pm }} ( 0 < r − < r + {\displaystyle 0<r_{-} M {\displaystyle |a|>M} のとき、 Δ = 0 {\displaystyle \Delta =0} の実根存在しない。この場合カー時空事象の地平面存在せず裸の特異点を持つことを意味するこのようなカー時空は、高速回転rapidly rotating または over-rotating)カー時空と言われる

※この「ボイヤー・リンキスト(Boyer-Lindquist)座標による表現」の解説は、「カー解」の解説の一部です。
「ボイヤー・リンキスト(Boyer-Lindquist)座標による表現」を含む「カー解」の記事については、「カー解」の概要を参照ください。

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