ベグラムの遺宝
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/19 05:04 UTC 版)
ベグラムはアフガニスタン東部、カーブルの北70キロメートルのヒンドゥークシュ南麓に位置する。ここはクシャーナ朝の夏の都であり、古代カーピシー国の首都でもあった。ベグラムの遺宝と呼ばれる遺物群は、1937年、フランス隊の調査によって発見されたものである。ベグラムには新旧2つの都城跡があるが、このうち新しい方の都城には宝庫と思われる2つの密閉された部屋があり、そこからクシャーナ朝とローマなどの異文化の交流を物語る数多くの遺品が出土した。中でも注目されるのは、ガラス製品、エジプトの青銅像、インドの象牙細工、中国の漆器の断片などである。出土品中にはローマないしその属州で制作されたガラス製品、いわゆるローマン・グラスの優品が多い。技法的には吹きガラス、カット・グラス、ミルフィオリ・グラス、エナメル彩絵付けなどが見られる。インドの象牙細工は化粧箱や椅子などの装飾板として制作されたもので、インド美術特有の肉感的、官能的な人物表現が特色である。中国漢代の盤、耳杯などの漆器の破片も見られる。 ベグラムの遺宝 女性像を表した象牙板(インド製)ギメ美術館 魚形ガラス容器(ローマン・グラス、香油入れ)ギメ美術館 「エウロパの略奪」を表した彩絵ガラス杯(ローマン・グラス)ギメ美術館 ガニュメデスと鷲(ゼウス)を表した石膏板 アフガニスタン国立博物館 吹きガラス杯(ローマン・グラス)ギメ美術館 アテナ神を表した銅製錘(おもり)ギメ美術館 青年像を表した石膏製メダイヨン アフガニスタン国立博物館 マカラの上に立つ河の女神像 象牙製(インド製)アフガニスタン国立博物館
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