プロトタイピングの問題点
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/28 03:57 UTC 版)
「ソフトウェアプロトタイピング」の記事における「プロトタイピングの問題点」の解説
プロトタイピングの(間違った使い方を含めた)問題点もある。 不十分な分析 限定されたプロトタイプに注目することで、開発者はプロジェクトの完全な要求分析を怠る場合がある。これにより、よりよい解決策を見逃したり、要求仕様が不十分になったり、最終的な製品が保守しにくいものになったりする。また、機能が限定されたプロトタイプは最終製品に流用することを想定していないことが多いが、それをベースとして最終製品を開発しようとすると様々な問題が発生する。 プロトタイプと最終製品の(ユーザー側での)混同 使い捨て型を想定していたプロトタイプをユーザーが最終製品とみなして、それ以上の改良を不要としてしまうことがある。そうすると開発者は想定していなかったプロトタイプへの全機能実装を強いられる。また、プロトタイプに検討のために含められていた(最終的には削除される予定だった)機能をユーザーが気に入ってしまうこともある。ユーザーが提案された全機能を最終システムに入れることを希望した場合、プロジェクトがマネジメント不能に陥る場合もある。開発者もプロトタイプに愛着を覚えることがあり、アーキテクチャ的裏づけなしにプロトタイプを改良して最終製品にしようとする羽目に陥る。 プロトタイプ開発に時間をかけすぎる プロトタイプの重要な特徴として時間が掛からずに開発されるという点が挙げられる。開発者がこれを失念すると、複雑すぎるプロトタイプを作ってしまうことがある。そのプロトタイプが使い捨て型であった場合、プロジェクト全体としての生産性は向上しないだろう。ユーザーがプロトタイプの詳細について議論を開始し、その対応に忙殺されて開発チームが最終製品の実装を延期せざるを得なくなることもある。 プロトタイプ実装の費用 プロトタイピング開発のための開発チームを立ち上げる費用はそれなりにかかる。多くの企業は開発方法論を持っており、それを変更するには再訓練/ツール群の再構築などが必要となる。多くの企業は、なるべく費用と時間をかけないでプロトタイピング手法を使おうとする傾向がある。 プロトタイピング導入の共通な問題として、手間をかけずに生産性が劇的に上がるのではないかという過度の期待がある。プロトタイピング技法には訓練が必要であり、そのプロジェクトや組織に固有な構造の開発の必要性が見過ごされることが多い。この構造をないがしろにすると生産性は低下することが多い。
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