フェイコ・プレチョップ法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/03 09:53 UTC 版)
「赤星隆幸」の記事における「フェイコ・プレチョップ法」の解説
一般に白内障の手術では、白濁した水晶体を除去し、かわりに眼内レンズを入れるという方法を採る。白濁した水晶体の除去は難しく、従来は手術の失敗も少なくなかった。そこで、フェイコマシーンという装置を用い、中空針の先から出される超音波によって水晶体を破壊して乳化させたうえ、真空吸引する「水晶体超音波吸引手術」 (Phacoemulsification) が行われ始めた。しかし、この手術は技術的に難しかった。 1993年(平成5年)、アメリカ白内障・屈折矯正手術学会において、日本の眼科医永原國宏は、超音波破壊の前処理として、不要な水晶体をチョッパーと呼ばれる器具で砕く「フェイコチョップ法」と呼ばれる手法を発表する。これをふまえ赤星は1998年(平成10年)、先端形状が異なるチョッパーを使用して別の原理で水晶体を破壊する「プレチョップ法」(フェイコ・プレチョップ法, Phaco prechop method)を発表した。フェイコ・プレチョップ法は、プレチョッパーと呼ばれる特別な手術器具を用いて白濁した水晶体を小さな塊に分割した上で、超音波によりそれぞれを破壊するという方法である(なお、永原、赤星以外からも、数種類の形状のチョッパーが提案されている)。 フェイコ・プレチョップ法では、水晶体の破砕・除去を速やかに行うことができ、眼球切開の規模も1.8ミリメートルまで縮小される上、副作用としてしばしば発生していた乱視などもほとんど発生しなくなるというメリットがある。さらに折り畳みが可能で狭い切開から挿入できるレンズが開発されたこともこの手術を可能にした。このため手術時間を数分にまで短縮でき、患者の負担も大幅に軽減された。医師の立場からしても、手術時間が短いため、年間数千件もの手術をすることが可能となった。もともとは白内障治療初心者のために考案された方法であったが、決して容易な治療などではなく、治療初心者の医師には困難な治療でもあり、赤星は器具の特許を取らず、世界中の眼科医に直接の指導を続ける傍ら、後輩の育成に尽力している。
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