フィリピン型
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/21 22:39 UTC 版)
「アラインメント (言語学)」の記事における「フィリピン型」の解説
オーストロネシア語族のうち、タガログ語やセブアノ語などのフィリピンの諸言語を始めとして、台湾、ボルネオ島、バリ島、マダガスカル、ミクロネシアなどの地域に分布する「フィリピン型」と呼ばれる言語では、S/A/Pという項の種類と格配列のデフォルトの対応関係が存在しない。例えば次のセブアノ語の文(a)は自動詞文で、S項 bata には ang という標識がある。一方(b)と(c)は他動詞文であるが、(b)ではA項 bata に ang が付き、(c)ではO項 libro に ang が付いている(例文は柴谷 2003:33)。 (8) a. Ni-dagan ang bata. AF-走る F 子供 S 「子供は走った」 (8) b. Ni-basa ang bata sa libro. AF-読む F 子供 NF 本 A P 「子供は本を読んだ」 (5) c. Gi-basa sa bata ang libro. OF-読む NF 子供 F 本 A P 「その本はその子供が読んだ」 この(b)と(c)の違いは「能動態」「受動態」と呼ばれることもあるが、対格言語の能動態・受動態とは異なる。むしろ文のどの成分を主題とするかによる違いで、「行為者焦点」「目標焦点」という呼び名が正確である(ゆえにこれらの言語を主題卓越言語と見る説もある)。このようにフィリピン型言語では他動詞構文が唯一でないために、格配列は一つに決まらない。どちらの格配列でも2つの格が用いられる。例えばタガログ語の場合、行為者焦点動詞の行為者と目標焦点動詞の目標は同じ形態であり、行為者焦点動詞の被行為者と目標焦点動詞の行為者もまた同じ形態(属格)である。このほかに「場所焦点」や「受益者焦点」などがあるが、これらは基本的な形式ではないとの考えもある。
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