ヒト乾燥硬膜
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/20 07:00 UTC 版)
ビー・ブラウン(西ドイツ)などが製造発売した「ライオデュラ」などのヒト乾燥硬膜(死者の脳から硬膜を摘出し、製品化したもの)について、ドナーが異常プリオンに汚染された可能性(伝達性海綿状脳症の高リスク疑い)が有るにも関わらず、適正な殺菌処理やドナーの選別を怠り、発売を続け、アメリカ合衆国や日本などで頭部外傷などによる脳外科手術の硬膜縫合時に、硬膜移植を受けた患者がクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)を発症し、その殆どが死亡した。 後に、乾燥硬膜の移植による医原性によるCJD発症であると結論づけられた。アメリカ食品医薬品局(FDA)では、1980年代後半に異変を察知してヒト乾燥硬膜を使用禁止としたが、日本の厚生省ではそれを考慮せず、世界保健機関が使用禁止措置を発する1997年春まで医療器具として輸入承認を続けた事や、1970年代の同製品の承認審査が杜撰であったとされる。 これを薬害として、1996年に滋賀県大津市の訴訟団を皮切りに各地で製造・販売側と厚生省を相手に損害賠償訴訟が提起され、2001年から2002年にかけて補償金を支払う和解が成立している。
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