パーンとニュムペーたち
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/01 07:48 UTC 版)
「パーン (ギリシア神話)」の記事における「パーンとニュムペーたち」の解説
パーンのトレードマークである笛に関わる有名な伝説がある。シューリンクス(Συριγξ、Syrinx)はアルテミスの侍女で、アルカディアの野に住む美しいニュムペーだった。サテュロス他の森に住むものに愛されていたが、彼女は彼らを皆軽蔑していた。ある日、狩りから彼女が帰ってくるとパーンに会った。アルテミスを崇敬し処女のままでいたいと思っていた彼女はパーンのお世辞を聞かずに逃げ出したが、パーンはラドン川の土手まで追いかけて行って彼女を捕えた。水中のニュムペーに助けを求める余裕しかなく、パーンが手を触れた時、彼女は川辺の葦になった。風が葦を通り抜け、悲しげな旋律を鳴らした。パーンはニュムペーを讃え葦をいくたりか切り取ると楽器を作り「パーンの笛」(パーンパイプ、パーンフルート、つまり古代ギリシア語でシューリンクス、Syrinx)と呼んだ。 エーコー(Ηχω、Ekho)は歌と踊りの上手なニュムペーであり、全ての男の愛情を軽蔑していた。好色な神であるパーンはこれに腹をたて、信者に彼女を殺させた。エーコーはバラバラにされ、世界中に散らばった。大地の女神ガイアがエーコーの肉片を受け取り、今もエーコーの声は他の者が話した最後の数語を繰り返している。エーコーとはギリシア語で、木霊を意味する。別の伝承では、はじめエーコーとパーンの間にはイアムベー(’Ιαμβη、Iambe)という娘がいた。 パーンはピテュス(Πιτυς、Pitys)というニュムペーにも惚れた。ピテュスは彼から逃げようと松の木になった。 山羊は性的な多産のシンボルであったが、パーンも性豪として有名であり、しばしばファルスを屹立させた姿で描かれる。ギリシア人はパーンがその魅力により、処女やダフニスのような羊飼いを誘惑するものと信じていた。シューリンクスとピテュスでしくじりはしたが、その後、ディオニューソスの女性崇拝者であるマイナデスをたらし込むことには成功し、乱痴気騒ぎの中で一人残らずものにした。これを達成するため、パーンは時に分身してパーン一族(Panes)となった(サテュロスを参照)。
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