バタフライウイング
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/29 01:38 UTC 版)
斜め上に跳ね上げるドアは総称的にポップアップドアと呼ばれ、セラに採用されているものはその中でもバタフライウイングドアとされるものであり、地面に対して垂直に展開するガルウイングドアとセラのバタフライウイングドアは、本来は厳密な違いがある。後述するように、古くから高級・高性能車に採用されてきたこのポップアップスタイルは様々な付加価値を秘めており、トヨタは日本車には特に珍しいポップアップドアを、技術的な試みや美術的な利点、視認性の確保などの理由からあえて採用している。そんなセラの魅力の1つであるバタフライドアは、当時からこのスタイルの一般名でもあるガルウイングと呼ばれ愛されていた。 ポップアップドアといっても車両によって採用する理由が様々であるが、セラの場合は、安価な小型量産車でこれを企画・設計・販売することにより、トヨタの企業イメージをアピールすることにあった。実際、この構造を可能にするために用いられた生産技術や構造は当時としてはハイレベルなものであった。 通常のハッチバックなどに用いられるガスストラットは季節によって作動の固さに大きな差が出るが、これはダンパーに封入されたオイルの粘度が気温によって変化するためで、その結果、夏は軟らかく冬は固くなってしまう場合が多い。しかしセラのドアでは、通常のドアダンパーに加えて温度補償ダンパーをドア内部にもう一本組み込むことで温度に関係なく性能を発揮させることに成功し、季節による変化を最小限に抑えている。また、ポップアップドアはその見かけ上、乗降時には周辺に相当なスペースが必要なような感じを受けるが、セラに採用されているバタフライドアは、全開時でもミニバンクラスの高さより低く、横への振り出しも43cmと通常のドアより狭いスペースでの開閉を可能としている。ただし、室内からの開閉には一般的なドアのようにノブを引いて横へ押しても開閉しにくく、肘で斜め上に押し上げるなどのコツが必要となる。
※この「バタフライウイング」の解説は、「トヨタ・セラ」の解説の一部です。
「バタフライウイング」を含む「トヨタ・セラ」の記事については、「トヨタ・セラ」の概要を参照ください。
- バタフライウイングのページへのリンク