バウム-フランプトンモデル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/01 00:45 UTC 版)
「サイクリック宇宙論」の記事における「バウム-フランプトンモデル」の解説
2007年のこの新しいサイクリック宇宙モデルは、パラメータwを通して、圧力と密度に関わる暗黒エネルギーの状態の方程式に関して新規の技術的な仮定を設定する。それは、現在を含む宇宙のサイクルの中で、常にw < −1(ファントムエネルギーと呼ばれる条件)であることを仮定する。(対照的に、スタインハート–テュロックはw ≧ −1を仮定している。)バウム-フランプトンモデルでは、ビッグリップの10-24秒以前に宇宙の反転が起こり、結果的に一つの区画だけがわれわれの宇宙として保持されたとする。この宇宙の区画はクォーク、レプトンまたはゲージ粒子を含まず、暗黒エネルギーだけを含む。それゆえ、そのエントロピーは0になる。この非常に小さい宇宙の収縮の断熱過程では、エントロピーは常にゼロで、宇宙の反転の前に崩壊するブラックホールなどの物質は存在しない。宇宙が “無に還る” というアイデアはこのサイクリック宇宙モデルの中心の新しいもので、QCD相転移や電弱対称性の回復などの相転移の問題と同様に、過剰な宇宙の構造形成(英語版)やブラックホールの拡散や膨張のような収縮期における問題に直面する多くの困難を避けることができる。これらの問題は、熱力学第二法則の破れを単純に避けるために、望んでいない反発力を生成する傾向が強く見られる。この画期的なw < −1の条件は、真に無限循環のサイクリック宇宙論にとって、エントロピー問題のために論理的に必須であろう。それでもなお、さらに多くの技術的に支援する計算がそのアプローチの一貫性を保証するために必要である。このモデルは弦理論からアイデアを借りているが、弦や多次元を導入する必要はない。ただし、そのような思索は理論の内部整合性を調査する最も迅速な方法を与えるであろう。バウム-フランプトンモデルのwの値は任意に−1に近付けることができるが、それよりは小さくないといけない。
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