ノベックとの比較
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/10 06:45 UTC 版)
スリーエム社はフロリナートの代替として、フロリナートと特性がほとんど同じで、なおかつフロリナートよりも地球温暖化係数が大幅に低いノベックを推奨しており、スパコンやサーバーの冷却用途としてノベックを用いたシステムもある。 冷媒としてフロンやフロリナートなどの代替フロンを使用する場合は、環境に放出されないように強い制限があるのに対し、ノベックはEPA(米国環境保護局)の定める特定フロン代替物リスト(SNAP リスト)の洗浄・冷媒分野でAcceptable(制限なしに利用可)に指定されており、「グリーン調達」だと言う利点がある。企業が調達を「グリーン調達」とすることは、日本の環境省も強く推奨している。 しかし、ノベックはフロリナートよりも沸点が低いという欠点がある。例えば、熱媒体として使用されるノベック649の沸点が約49度なのに対し、フロリナートFC43の沸点は約174度であるため、スパコン・サーバーを冷却する用途に使用した場合、CPUの周りでノベックが沸騰してすごい勢いで蒸発するため、沸騰式冷却システムとならざるを得ない。すなわち、ノベックを密閉し、なおかつ気化したノベックを冷却して液相に戻す装置が必要になり、システムが大掛かりになって取り回しが面倒である。 一方フロリナートを使用した場合、液相のままで循環させて冷却する循環式冷却システムとすることができる。また、システムを開放式にすることによってフロリナートが少しづつ蒸発して減る分を無視できると考えた場合、密閉式ではなく開放式冷却システムとすることができ、取り回しが楽である。フロリナートで満たされた筐体のふたを開け閉めする際の環境負荷や、フッ化有機物に手を突っ込む危険性を無視できると考えた場合、ふたを開けてパーツをすぐに引き上げたりできる利点がある。 なお2015年6月には、Green500でフロリナートを冷媒とするスーパーコンピュータが1位から3位までを独占したが、これは消費電力が低い「省エネ」と言う意味であって、必ずしも環境負荷が低いという意味ではない。
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