ネット以前の使用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/10 03:19 UTC 版)
この手の手法はネット発祥というわけではなく、以前から存在する。古くは和歌に横読みで別の文句を読み込む技法が流行し、これを折句と称した。暗号を各句の頭に置くことを「冠」、末尾に置くことを「沓」、頭と末尾の双方に暗号を折り込むことを「沓冠」といった。下記の歌の頭文字を縦に取ると「かきつはた(カキツバタ)」と花の名前になる。 からころも きつつなれにし つましあれば はるばるきぬる たびをしぞおもふ (伊勢物語) 作者不詳の「いろはにほへと」のいわゆるいろは歌を、七文字ごとに区切って末尾を横読みすると「とかなくてしす(科無くて死す)」となる。これにより、いろは歌は、無実の罪に落ちた者が遺恨を込めて製作したものとする俗説があった。『仮名手本忠臣蔵』の題名は、幕府の不公平な処分による浅野内匠頭の無念の死と、いろは歌を掛けたものとする俗説がすでに江戸時代の発表当初から流布していた。 また、テレビ番組『私は名探偵・完全犯罪をつぶせ!』(1982年〈昭和57年〉4月 - 1983年〈昭和58年〉3月、テレビ東京)の劇中トリックでは、自分が息絶えるまでのわずかな時間に原稿用紙に書いた自作の詩を書き換えて一番上の段と一番下の段にダイイング・メッセージを埋め込んだ(つまり縦書きの文章に横読みの文章を2つ埋め込んだ)ことで、犯人に読ませたうえで真意を知られることなく第三者に知らせている。
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