ネコのマタタビ反応
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 21:00 UTC 版)
日本では「猫に木天蓼」という諺があるように、ネコがマタタビを大好物とすることは古くから知られており、1704年に出版された貝原益軒の農業指南書『菜譜』にも記されていた。浮世絵『猫鼠合戦』にはマタタビでネコを酔わせ腰砕けにするネズミの様子が描かれるなど、江戸時代には「マタタビ反応」は「マタタビ踊り」とも言われ、既に大衆文化に取り込まれていた。1950年代には目武雄らの研究によって、マタタビ活性物質は「マタタビラクトン」と呼ばれる複数の化学成分であると報告されていた。マタタビ反応はネコ科の動物全般に見られるが、なぜネコ科動物だけにこの反応が見られるのか、また、マタタビ反応の生物学的な意義についてはこれまで不明であった。 2021年1月21日、科学雑誌『Science Advances』に、岩手大学は、名古屋大学、英国リバプール大学、京都大学との共同研究で、ネコのマタタビ反応が蚊の忌避活性を有する成分ネペタラクトールを体に擦りつけるための行動であることを解明したと発表した。本研究では、まずマタタビの抽出物からネコにマタタビ反応を誘起する強力な活性物質「ネペタラクトール」を発見。さらにこの物質を使ってネコの反応を詳しく解析し、マタタビ反応は、ネコがマタタビの匂いを体に擦りつけるための行動であることを突き止めた。また、ネペタラクトールに、蚊の忌避効果があることも突き止め、ネコはマタタビ反応でネペタラクトールを体に付着させ蚊を忌避していることを立証した。ネペタラクトールは、蚊の忌避剤として活用できる可能性があるとしている。この研究チームによる2022年6月の発表によると、マタタビ反応で葉を噛むことにより、葉からの蚊の忌避物質(ネペタラクトールとマタタビラクトン類)の放出量が10倍以上に増えることも判明した。
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