ナスフとは異なる解釈
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/15 03:35 UTC 版)
神が直接語ったとされる言葉をまとめた『ウスマーン版ムスハフ』を、ムスリムは、聖典解釈原理に基づいて解釈することで、イスラーム文化を生んで来たとされる。それは、様々な方向に向かう人間生活の一切を解釈することであった。イスラーム文化の大きな特徴は、聖と俗の区別をつけないことである。シャリーアによって、政治と法律もそのまま宗教となっている、とされている。 宗教的な立場から見ると、シャリーアは必ずしもムスハフの言葉を守っているものではないと見える場合がある。例えば、ムスハフには、預言者を除いて、一人の男の妻は4人までしか持てない、とはっきりと明言されている。この基準を守らないで、妻を4人以上持つ男性が存在してもいいです、という啓示の句もない。しかし、新サウジアラビア王国の前国王は、確認されているだけでも、17人の妻がいたと伝えられている。 この例をはじめとして、イスラム教国の王侯貴族には5人以上の妻が公式にいることはめずらしくないとされる。前後に矛盾した神の啓示が二つある場合、イスラーム学者が、従来通りの方法によって変更するのは、神の言葉の解釈として認められていると言うことが出来る。しかし、男の妻は4人まで、という神の啓示が一種類しか示されていない場合、矛盾がないといえる。そのため、イスラーム教徒は、それをそのまま守らなくてはいけないと言える。イスラーム学者がこの契約を守らなくてもよいと解釈するのは、違反行為であると言える。それはいわば、イスラームの神の心をイスラーム的解釈によって破棄処分する行為であると言える。シャリーアに基づく治世をうたうイスラームの国において、こうした行為が為されているということは、政治と宗教が一体となっているという主張は、一般的な宗教信仰よりも宗教的には低レベルの在り方であると見ることが出来る。
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