ドナー
医学の分野では、ドナーというと臓器提供者のことを指しますが、酪農の世界では、受精卵を提供する雌牛のことをドナーと呼んでいます。 牛の交配は、人間のように自然の交配をするわけではありません。優秀な雄の精子を保存し、これを多くの雌に種付けすることで、一度に同じ父牛の特徴を持ったたくさんの子牛が誕生する人工授精という方法を用いています。これをさらに進めたのが、受精卵移植という方法です。 優れた雌牛の子宮や卵管から卵を取り出して、優秀な父牛の精子と合体させて受精卵を作る。それを、レシピアントと呼ばれる何頭もの借腹牛に移植する。そうすることで、同じ父と母をもつ子牛が一度にたくさん生まれる、というわけです。ちなみに、精子も卵子もマイナス196度で凍結保存されていて、いつでも利用できるようになっています。 しかし、すべての雌牛がドナーになれるわけではありません。父親になる牛が厳しい基準で選ばれるように、母牛になるためにも厳しい条件があるのです。その条件とは、まず健康であること。そして、排卵の時期が正常であることが大前提になります。もちろん、乳量が豊富であるとか乳質が優れているなどの能力も重要な条件になることはいうまでもありません。 また、最近人工受精や受精卵移植といった方法のほかに、家畜改良の新しい方法として注目されているのがクローンです。1997年2月イギリスでクローン羊が誕生し、大きな話題になりました。専門的で少しわかりにくい話になりますが、これは(雌の乳腺の細胞を取り出して、核抜きの未受精卵に移植。これを培養し、分裂させて別の雌の子宮に戻す)という方法でした。日本でも牛を用いて、こうしたクローン研究が始まっています。 |
<ミルククラブ情報誌'98 AUTUMN vol.29より> |
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