デュアルフレーム調査
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/14 23:47 UTC 版)
固定電話と携帯電話の両方を使って世論を調査する「デュアルフレーム調査」は、2017年現在の世論調査の最新の手法である。 従来の電話調査は固定電話のみを対象とした電話調査が行われていたが、日本で2016年6月に選挙権年齢が18歳以上に引き下げられ、若者の意識を調査する必要性が増したのをきっかけとして、携帯電話のみの利用者が多い若者層をサンプリングできないことに由来する世論調査の誤差幅(カバレッジ誤差)を解消するため、大手マスコミ各社でデュアルフレーム調査が導入された。 日本におけるデュアルフレーム調査は、2014年から2016年にかけて大手マスコミ6社(朝日新聞、NHK、共同通信、日経リサーチ、毎日新聞、読売新聞)と日本世論調査協会によって共同で実験が行われ、導入が進められた。これは行動計量学会にとっても興味深いものだったので、その実験の様子が読売新聞東京本社世論調査部によって『行動計量学』(行動計量学会の学会誌)第86号に詳細に報告されている。 理論は省いて結果だけ書くと、携帯電話では知らない番号の電話に出てくれない人が多いので、携帯電話によるRDD方式では一定の回答数が得られないのではないかという疑問があったが、実際は一定の回答数が得られることが分かり、携帯電話による電話調査を行うことによってカバレッジ誤差の問題が改善することが確認された。また、電話調査と並行して行われた郵送調査との比較によって、「「電話に出ない人」の意見を吸い上げていない」ことの影響がほとんどないことも確認された。 誤差については、固定電話と携帯電話のサンプルの統合や、無回答の調整のためのウェートによる誤差の拡大は、調査結果の解釈に影響しない程度に十分小さいことが分かった。また、携帯電話調査では、回答者に占める女性の割合が男性より低かったが、性別の補正をしても誤差幅への影響が十分小さいことが分かった。 結果として、デュアルフレーム調査がより良い調査の為に有効であることが分かったので、読売新聞社は2016年4月に世論調査の方法をデュアルフレーム調査に切り替えた。
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