ツックマイヤーの脚本について
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/16 06:02 UTC 版)
「ヴィルヘルム・フォークト」の記事における「ツックマイヤーの脚本について」の解説
ツックマイヤーの脚本のうち第2幕および第3幕ではケーペニック事件が描かれているが、事件の10年前と設定されている第1幕は大半が架空の出来事である。地方出身のフォークトがベルリン方言を話すといった些細な変更に加えて、彼を主人公に相応しい「高貴な泥棒」として描くべく大幅な脚色が加えられている。また犯行の動機については、フォークト自身が語った「大金ではなく、旅券だけが必要だった」という説明をそのまま用いており、クライマックスでは自発的な自首と釈放後に旅券を受け取るシーンが描かれた。また制服についてもきちんと一式揃っていたものを入手したとされ、さらにはケーペニック市長を含む制服のかつての持ち主の背景も描かれていく。そして当時のドイツ社会における軍人の社会的地位を示す為、将校団と制服に無条件の敬意を抱く市民や下士官兵の象徴として、陸軍下士官を務めているフォークトの兄が登場する。ツックマイヤーの目的はケーペニック事件を通して帝国軍や軍国主義のカリカチュアを描くことにあったとされる。 一方で、帝国時代からドイツ国内に存在した反ユダヤ的思想もいくらか取り入れられており、商店主や仕立て屋として登場するユダヤ人はいずれもステレオタイプ的な描かれ方をしている。
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