ダイビングベル事故
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/03/21 09:41 UTC 版)
「バイフォード・ドルフィン」の記事における「ダイビングベル事故」の解説
1983年11月5日午前4:00、北海ノルウェー経済水域に位置するフリッグガス田(英語版)での掘削中のことである。リグ上に設置された減圧タンクとダイビングベルからなる系内に4人のダイバーが入り、2人のテンダーがこれをサポートしていた。 1人のダイバーがタンクとベルの接続部にある扉を閉じようとした時、タンク内で9気圧から1気圧への爆発的な減圧が発生した。テンダーのうちの1人とダイバー4人全員が即死し、テンダーの残る1人が重傷を負った。 事故直前の状況は次の通りである:減圧タンク1と2が接続筒を通じてダイビングベルへと接続され、この接続部は2人のテンダー(彼ら自身も熟練したダイバーである)の操作するクランプによって密閉されていた。第3のタンクは系に接続されていたものの事故には無関係である。事故発生日、ダイバーの2人が9気圧に保たれたタンク2内で待機していた。もう2人のダイバーを載せたダイビングベルが引き上げられ、接続筒へ接続された。ベル内のダイバーはギアをベルに残し、接続筒を通ってタンク1へと移動した。 正しい手順 ベルの扉を閉める。 潜水主任がベル内の圧力をわずかに高め、扉を密閉する。 接続筒とタンク1間の扉を閉める。 接続筒内の圧力をゆっくりと1気圧に下げる。 ベルをタンク系から分離するため、クランプを開く。 第1・第2ステップの完了後、ダイバーがタンクの扉を閉じ終わるより前になぜかテンダーの1人がクランプを開いてしまい、その結果密封されていなかったタンクの爆発的減圧が発生した。空気が猛烈な勢いでタンクから排出され、扉を壊しベルを吹き飛ばした。吹き飛ばされたベルは2人のテンダーを直撃し、クランプを開いたテンダーは死亡、もう1人は重症を負った。 ダイバーのうちの3人は爆発的な減圧にさらされ、図に示した位置で死亡した。残る1人、最後にタンクの内扉を閉めようとしていたダイバーは、扉を閉める途中に4人の中で最も急激な圧力勾配にさらされた結果、流れ出る空気によって内扉が壊れて詰まったことにより生じた60センチメートル幅の隙間に押し込められた。そしてその衝撃で体を引き裂かれて腹胸腔を両断され、それにより気管と腸、胸部脊椎のそれぞれ一部を残して胸部・腹部のすべての内臓が体外へ排出されたことがその後の法医病理学調査によりわかった。体組織の破片は広範囲に飛び散り、のちに外部圧力扉の10メートル直上で発見されたものもあった。
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