タラ_(スクーナー)とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > タラ_(スクーナー)の意味・解説 

タラ (スクーナー)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/11/03 00:24 UTC 版)

アンタルクティカ
アンタークティカ・エクスプローラー
シーマスター
タラ
2008年ブレストに停泊中のタラ
基本情報
船種 スクーナー
船籍 フランス
所有者 エティエンヌ・ブルゴワ
運用者 タラ財団(タラ海洋探査プロジェクト)
建造所 SFCNヴィルヌーヴ=ラ=ガレンヌ造船所
母港 ロリアン[1]
船級 ビューロー・ベリタス
信号符字 FGE2738[2]
IMO番号 8817552[3]
MMSI番号 227621550[3]
改名 アンタルクティカ(1989年 - 1996年)
アンタークティカ・エクスプローラー(1997年 - 2000年)
シーマスター(2000年 - 2003年)
経歴
竣工 1989年
現況 運用中
要目 (特記無き限り要目はタラとして2016年のもの[4]。)
総トン数 120t
長さ 36m
10m
喫水 2.5m
機関方式 帆走(27mマスト2本、面積400m2
ディーゼルエンジン2基
出力 350hp x 2
航続距離 5,000マイル (8,000 km)
テンプレートを表示

タラ(Tara)は、アンタルクティカフランス語: Antarctica、英語からの転写によるアンタークティカとも)として建造され、ついでアンタークティカ・エクスプローラー英語: Antarctica Explorer)、シーマスター英語: Seamaster)を経てタラとして運用されたスクーナー

ジャン=ルイ・エティエンヌ英語版によりアンタルクティカとして1996年まで極地探検に用いられた後、クストー協会によりアンタークティカ・エクスプローラーとして海洋調査に用いられる予定であったが、2000年にピーター・ブレイクによって買い取られた。シーマスターとして南極、アマゾン川の調査に用いられたが、ブレイクがその途上で殺害されたことによって運用は中断された。2003年、アニエスベーエティエンヌ・ブルゴワフランス語版により購入され、タラとして海洋環境調査に用いられた。

アンタルクティカ

1989年、ジャン=ルイ・エティエンヌによりリュック・ブヴェとオリヴィエ・プティの設計によって、フランス造船(SFCN)ヴィルヌーヴ=ラ=ガレンヌ造船所にてアンタルクティカとして建造された[5][1]

アンタルクティカは、1991年から1992年にかけてのパタゴニアサウス・ジョージア島南極半島と1995年から1996年にかけてのスピッツベルゲン島の探険で用いられた[6][7]

アンタークティカ・エクスプローラー

1997年、クストー協会はピーター・ブレイクをアンタークティク・エクスプローラーの船長に迎えた[8]。アンタークティカ・エクスプローラーと改名されたアンタルクティカは、オークランドで整備を行いアルシオーネ英語版の僚船となる予定であった[9][10]

しかし、この計画は進捗が滞り、ピーター・ブレイクもアメリカスカップに注力し続ける結果となった。2000年には財政が悪化したクストー協会からピーター・ブレイクは離脱し、独自の計画を展開し始めたが、その計画にとってアンタークティカ・エクスプローラーは有用な存在であり、同年にこれを買い取ることとなった[8][11][12]

シーマスター

ブレイクエクスペディションズ社を設立したピーター・ブレイクは、船名をシーマスターに改称した[12]。国際連合環境計画に参加し、ドキュメンタリーを撮影する計画を立てていた[8]。計画では、極地、アマゾン川、太平洋のサンゴ礁を対象とし2001年から5年間を費やす予定であった[13][14]。しかし、マカパに停泊中の2001年12月5日、海賊によってピーター・ブレイクが射殺され計画は中断した[14]

この航海は、ナショナルジオグラフィックのドキュメンタリーとして取り上げられ[15]、生前に南極で撮影されたドキュメンタリーはHeart of Iceとして2002年7月28日に放映された[16]

ブレイクエクスペディションズは新たな支援者を求めたが、アメリカ同時多発テロ事件の影響で2社が手を引くなど不調に終わり、2003年8月ロード島に係留されていたシーマスターは売却されることとなった[17]

タラ

ピーター・ブレイクの遺族はシーマスターの売却先としてふさわしい人物を求め[14]、結果エティエンヌ・ブルゴワが推定175万USドルで購入した[18]

10月13日、シーマスターからタラと改名[1]。タラはマオリ語で「天国の道」を意味する言葉で、ピーター・ブレイクの祖父が使用していた船名であった[19]

2004年より2006年にかけては、グリーンランド、南極、パタゴニア、サウス・ジョージア島で6回の探査を行う一方で、聴覚障害者のサウス・ジョージア島探険を支援、セバスチャン・サルガドピエール・ユイグ英語版の作品制作に協力している[1]

2006年9月から2008年2月は、ヨーロッパの北極調査計画DAMOCLES(Developing Arctic Modeling and Observing Capabilities for Long-term Environmental Studies)に参加し、北極圏で運用された[1][5]

2009年9月から2013年にかけては、海洋プロジェクトとして北極及び南極を含む各地の海洋を巡った[20][1]

2014年は5月から11月まで地中海の調査に従事[21][1]、2016年からは2018年までの予定で太平洋の調査を行っている[22][1]

また、2015年で建造から25年以上が経過しており、代船の検討が必要であることをエティエンヌ・ブルゴワが主張している[1]

船体

船殻は厚さ15mmから25mmのアルミニウム製[10]。海氷の圧力に耐えるため圧力の掛かる部分は厚く、氷から浮き上がるために船形は卵形になっている[11][23]

発電装置としては、発電機に加え、太陽光パネル[5]や風力発電機[4]を備える。

真水の製造能力は1時間300リットル、6000リットルのタンクに加え、燃料タンク50,000リットルと汚水タンク7000リットルも有する[5]

通信設備は時期により異なるが、2016年にはユーテルサットフリートブロードバンド短波Standard Cに対応している[4]

飽和潜水のための再圧タンクは、4人用の30気圧のものと40気圧のものを備えている[4]

出典

  1. ^ a b c d e f g h i タラ新聞” (PDF). タラ財団 (2016年3月23日). 2016年8月13日閲覧。
  2. ^ TARA”. myshiptracking.com. 2016年8月13日閲覧。
  3. ^ a b TARA”. MarineTraffic.com. 2016年8月13日閲覧。
  4. ^ a b c d Virtual Tour”. タラ財団. 2016年8月13日閲覧。
  5. ^ a b c d TARA ARCTIC 2007-2008: The Great Arctic drift”. Developing Arctic Modeling and Observing Capabilities for Long-term Environmental Studies (2006年6月27日). 2016年8月13日閲覧。
  6. ^ Etienne Jean-Louis”. 国際極地基金. 2016年8月13日閲覧。
  7. ^ ジャン=ルイ・エティエンヌ. “Spitzbergen”. 2016年8月13日閲覧。
  8. ^ a b c Blake leaves Cousteau Society for water project”. ニュージーランド・ヘラルド (2000年8月18日). 2016年8月13日閲覧。
  9. ^ Antarctic Explorer – The Cousteau Society is taking on the ice in their new polar vessel”. Dive New Zealand (2015年2月5日). 2016年8月13日閲覧。
  10. ^ a b Antarctic Explorer: The new arrival”. Cousteau Society. 2001年4月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年8月14日閲覧。
  11. ^ a b Angus Phillips (2000年1月26日). “Knight Looks to Make Right at Sea”. ワシントン・ポスト. 2016年8月14日閲覧。
  12. ^ a b Seamaster on Blake's old course”. ニュージーランド・ヘラルド (2003年11月4日). 2016年8月14日閲覧。
  13. ^ Sir Peter Blake: Kiwi yachting hero”. ニュージーランド政府観光局. 2016年8月14日閲覧。
  14. ^ a b c Catherine Masters (2011年12月3日). “The night they killed a Kiwi hero”. ニュージーランド・ヘラルド. 2016年8月14日閲覧。
  15. ^ Death on the Amazon”. Big Wave Productions. 2016年8月14日閲覧。
  16. ^ Heart of Ice (2002)”. インターネット・ムービー・データベース. 2016年8月14日閲覧。
  17. ^ Claire Trevett (2003年8月8日). “Sale of Blake's boat threatens end for nature project”. ニュージーランド・ヘラルド. 2016年8月14日閲覧。
  18. ^ Seamaster on Blake's old course”. ニュージーランド・ヘラルド (2003年11月4日). 2016年8月14日閲覧。
  19. ^ 118’ / 36m Antarctica - Tara”. CMN Yacht. 2016年8月14日閲覧。
  20. ^ 2009~2013年タラ号海洋プロジェクト”. タラ財団. 2016年8月13日閲覧。
  21. ^ 2014年タラ号地中海プロジェクト”. タラ財団. 2016年8月13日閲覧。
  22. ^ タラ号太平洋プロジェクト 2016-2018”. タラ財団. 2016年8月13日閲覧。
  23. ^ Uscha Pohl (2007). “The Cold Way”. VERY (VERY UP & Co) (12). http://www.verymagazine.org/magazine/issue-12/117-overview-issue-12/494-the-cold-way 2016年8月14日閲覧。. 

外部リンク


「タラ (スクーナー)」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「タラ_(スクーナー)」の関連用語

タラ_(スクーナー)のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



タラ_(スクーナー)のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのタラ (スクーナー) (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS