タイプIアンチトロンビン欠乏症
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/07 07:49 UTC 版)
「アンチトロンビン」の記事における「タイプIアンチトロンビン欠乏症」の解説
タイプIアンチトロンビン欠乏症は、血中のアンチトロンビン活性とアンチトロンビン濃度の双方の低下によって特徴づけられる。ヘパリンに対する親和性に基づいて、タイプI欠乏症はさらにIa、Ibの2つのサブグループに分類される。サブグループIaの患者のアンチトロンビンはヘパリンに対する親和性は正常であるが、サブグループIbでは親和性が低下している。その後の機能的解析により、サブグループIbの症例ではヘパリンに対する親和性の低下だけでなく、反応部位、ヘパリン結合部位やアンチトロンビンの血中濃度に影響を与える複数の多面的な異常が存在することが発見された。国際血栓止血学会(International Society on Thrombosis and Haemostasis)の学術標準化委員会(Scientific and Standardization Committee)による改訂分類システムでは、サブグループIbの症例はタイプII PE(pleiotropic effect)に分類されている。 タイプI欠乏症の大部分の症例はアンチトロンビン遺伝子内の点変異、欠失、または小さな挿入によるものである。こうした遺伝的変異はさまざまな機構でタイプI欠乏症を引き起こす。 生合成の完了後に適切に血中へ放出されない、または血中に短期間しか存在しない不安定なアンチトロンビンが産生される(例: コドン106–108の6塩基対欠失など)。 アンチトロンビン遺伝子のmRNAのプロセシングが影響を受ける。 小さな挿入または欠失によってフレームシフトが起こり、本来の終止コドンよりも上流で翻訳が終結する。 点変異によってアルギニンのコドンが終止コドンに置き換えられ、上流で翻訳が終結する(例: コドン129のCGA→TGA変異)。
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