タイプBの不溶性セシウム粒子
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/17 05:19 UTC 版)
「セシウムボール」の記事における「タイプBの不溶性セシウム粒子」の解説
セシウムに富んだ不溶性の粒子としてはセシウムボールよりも大きく、おおむね粒径0.5ミリメートル (mm) にまでおよぶ粒子も発見されている。両者をともに不溶性セシウム粒子などのように呼んでくくられるが、その性質は大きく異なっており、学術文献では小さな球形のセシウムボールの方をタイプAとし、この相対的に大きく多くは不定形をした粒子をタイプBとして区別している。 放射性セシウムの同位体比より、タイプA(セシウムボール)が2号機もしくは3号機由来と考えられているのと異なり、タイプBは1号機から放出されたと考えられている。また、タイプAが関東を含む広範囲まで広がったのに対し、タイプBは原発北西側の比較的近距離の地域で多く発見されている。一般にタイプBの粒子はタイプAの1万分の1ほどの比放射能しかもたないものの、2011年3月12日の1号機の建屋水素爆発により汚染が広がった原発北西3.9キロメートル (km) の双葉町内の土壌からは、一般的なタイプBよりさらに粒径が大きく粒子1つの放射性セシウムの放射能が100万ベクレル (1 MBq = 106 Bq) を超えるような粒子も見つかっている。 日本原子力研究開発機構の佐藤志彦(ゆきひこ)は、タイプBの不溶性粒子について建屋内のグラスウール製の断熱材に吸着されたセシウムが、建屋の水素爆発により融けた断熱材とともに粒子となって広まったとの推定を行っている。一方、三浦輝らは多数の不溶性セシウム粒子の分析からタイプBに構造・組成の異なる不定形なものと球形に近いものがあることを見出だし、不定形のものは溶けた燃料が周辺材料を取り込んだのち固体表面で固化し、球状のものは液体の状態から空中で固化したのだとしている。 タイプBの粒子はその大きさから肺には入りにくい。佐藤らは実験とモンテカルロ・シミュレーションを用いてタイプBの粒子がもたらすDNA損傷を見積もり、遠位細胞へのDNA損傷の増加と近位細胞への「防御効果」の両方が誘発されると報告している。
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