スキューズ数
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/07 15:02 UTC 版)
スキューズ数(スキューズすう、Skewes number)は、南アフリカの数学者スタンレー・スキューズが素数の個数に関する研究において用いた、極めて大きな数である。具体的には、x 以下の素数の個数 π(x) および 対数積分 li(x) について、 π(x) > li(x) を満たす最小の自然数 x の上界としてスキューズが与えた数を指すが、このような x 自体を指すこともある。2021年時点で、このような x は 1014 より大きく[1] 1.3983 × 10316 未満[2]であることが知られているが、正確な値は不明である。
歴史
素数定理によれば、π(x) は漸近的に li(x) に等しい。実際の値を比較すると、現実的に計算が実行可能な程度に x が小さいあいだは常に li(x) の方が大きいように見える。このことから、π(x) > li(x) となる x が存在するか、という問題が自然に考えられる。ガウスやリーマンはそのような x は存在しない、と予想していた。スキューズの指導教官であるリトルウッドは、1914年の論文において、そのような x が存在することのみならず、π(x) − li(x) の符号は無限回変わることを示した。すなわち、π(x) と li(x) は無限回抜きつ抜かれつするのである。しかし、リトルウッドの証明は、いつ初めて π(x) が li(x) を追い抜くか、という見積もりを与えるようなものではなかった。
スキューズは、1933年の論文において、リーマン予想が真であるとの仮定の下に、π(x) > li(x) となる x は、次の数以下に存在することを証明した。
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