ジョスリン・ベルとは? わかりやすく解説

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バーネル【Susan Jocelyn Bell Burnell】


ジョスリン・ベル・バーネル

(ジョスリン・ベル から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/08/14 09:01 UTC 版)

Jocelyn Bell Burnell
ジョスリン・ベル・バーネル
ジョスリン・ベル・バーネル(2009)
生誕 Susan Jocelyn Bell
(1943-07-15) 1943年7月15日(81歳)
イギリス 北アイルランド ベルファスト
国籍 イギリス
研究分野 天体物理学
研究機関 バース大学
ケンブリッジ大学
グラスゴー大学
オープン大学
オックスフォード大学
サウサンプトン大学
ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン
出身校 グラスゴー大学
ケンブリッジ大学
博士論文 The Measurement of radio source diameters using a diffraction method (1968)
博士課程
指導教員
アントニー・ヒューイッシュ
主な業績 パルサーの発見
主な受賞歴 ロイヤル・メダル(2015)
王立天文学会ゴールドメダル(2021)
コプリ・メダル(2021)
公式サイト
www2.physics.ox.ac.uk/contacts/people/bellburnell
プロジェクト:人物伝
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スーザン・ジョスリン・ベル=バーネル DBE FRS FRSE FRAS FInstP(英語: Susan Jocelyn Bell Burnell, 旧姓Susan Jocelyn Bell, 1943年7月15日 - )は、イギリス天体物理学者である。アントニー・ヒューイッシュの下でパルサーを発見した。

略歴

ベル・バーナルが初めてパルサーの信号を発見したデータ(ケンブリッジ大学図書館の展示)

北アイルランドベルファストで建築家の娘として生まれた。

1965年グラスゴー大学理学士。1967年にケンブリッジ大学大学院生時代にヒューイッシュらとクエーサーの観測するための電波望遠鏡の観測データのなかに非常に早く規則的に変化する電波信号を見つけた[1][2]。天文学的には異常に短い周期である電波の、宇宙人からの通信ではないかとも思われた電波源には「緑の小人 (Little Green Man)」[4]を意味する「LGM-1」(現・PSR B1919+21)の名が与えられたが、後に高速で回転する中性子星「CP 1919」が電波源であることがわかった。

パルサー発見の論文は5人による共著[1]で、ヒューイッシュ[7]が最初でベルが2番目だった。ヒューイッシュはマーティン・ライルとノーベル物理学賞を共同受賞したが、パルサーの信号に最初に気づいたベル[8]は受賞できなかった[9]。選から漏れたことに対して、フレッド・ホイル [10]を含む多くの天文学者が異議を唱えた[11][12][注 1]。なお、ライルとヒューイッシュの1974年度ノーベル物理学賞の受賞理由としてスウェーデン王立科学アカデミーは「電波天体物理学の先駆的研究」を挙げ、ライルに関しては「開口合成技術の開発」、ヒューイッシュに関しては「パルサーの発見における決定的役割」としている[14][15]

1969年にケンブリッジ大学でPh.D.を取得し、サザンプトン大学指導教員(1970年 - 1973年)、ロンドン大学ムラード宇宙科学研究所研究員(1974年 - 1982年)、エディンバラ王立天文台英語版研究員(1982年 - 1991年)、オープン大学物理学講座教授(1991年 - 2001年)、プリンストン大学客員教授バース大学理学部長 兼 教授(2001年 - 2004年)を務めた。

2002年から2004年までイギリス天文学会会長英語版、2008年から2010年まで英国物理学会会長を歴任、2011年初めには後任のマーシャル・ストーンハム英語版会長の急死を受け会長代行を務める。現在はオックスフォード大学客員教授マンスフィールド・カレッジフェローを務める。2003年王立協会フェロー選出。

1968年に結婚し1男を儲けるも、1993年に離婚。

BBCスコットランドはベル・バーネルに「20世紀科学界への最大の貢献をした」人物のひとりに列した[16]

ブレイクスルー財団より2018年の基礎物理学ブレイクスルー賞特別賞の授与が伝わると、ベル・バーネルは賞金230 万ポンドは全額を寄付し、女性や少数民族、難民の学生が物理学研究者になる道を開くよう、基金を設立して管理は英国物理学会の部署(英語)に託すと発表した[17][18]。現在、「ベル・バーネル大学院奨学金基金」として運用されている[19][20]

受賞歴

栄誉

科学アカデミー会員

注釈

  1. ^ ベル・バーネル自身は1977年に騒動を振り返り「研究課程の学生を選んでは、よほどの例外事例でない限り、ノーベル賞の価値が下がってしまう。今回の場合、それに該当するとは考えなられない」[13]
  2. ^ マゼラン特別賞は1786年創設以来、ナビゲーション分野の偉大な功績を顕彰。2008年時点で初代ベンジャミン・フランクリンを含む33人のみ受賞。

出典

  1. ^ a b Hewish, A.; Bell, S. J.; Pilkington, J. D. H.; Scott, P. F.; Collins, R. A. (1968). “Observation of a Rapidly Pulsating Radio Source”. Nature 217 (5130): 709. Bibcode1968Natur.217..709H. doi:10.1038/217709a0. 
  2. ^ Pilkington, J. D. H.; Hewish, A.; Bell, S. J.; Cole, T. W. (1968). “Observations of some further Pulsed Radio Sources”. Nature 218 (5137): 126. Bibcode1968Natur.218..126P. doi:10.1038/218126a0. 
  3. ^ “Little Green Men, White Dwarfs or Pulsars?”. Cosmic Search 1 (1). (21 September 2004). http://www.bigear.org/vol1no1/burnell.htm 2021年2月23日閲覧。. 
  4. ^ ニューヨーク科学アカデミー英語版より許諾を得て、年報の記事「Petit Four」CITEREFNYAS1977を「Little Green Men, White Dwarfs or Pulsars?」に改題して転載。元記事はテキサスで催されたシンポジウムの夕食会後、ベル・バーネルが語ったスピーチ『Petit Four』を掲載したもの[3]
  5. ^ Hewish et al. 1968, p. 709.
  6. ^ Pilkington et al. 1968, p. 126.
  7. ^ ヒューイッシュはベルの論文指導教官だった[5][6]
  8. ^ Hargittai 2003, p. 240.
  9. ^ Tesh & Wade 2017, pp. 31–33.
  10. ^ McKie 2010.
  11. ^ Judson 2003.
  12. ^ Westly 2008.
  13. ^ NYAS 1977.
  14. ^ Nobelprize.org 1974.
  15. ^ Cosmic SearchVol. 1
  16. ^ BBC Scotland 2014.
  17. ^ Sample 2018.
  18. ^ Kaplan & Farzan 2018.
  19. ^ Ghosh 2019.
  20. ^ IoP 2019.
  21. ^ Franklin Institute.
  22. ^ Fi.edu.
  23. ^ Walter 1982, p. 438.
  24. ^ AIoP 1978, p. 68.
  25. ^ Aas.org 1986.
  26. ^ RAS.
  27. ^ Jansky Home Page.
  28. ^ APS 2008.
  29. ^ QVMAG 2016.
  30. ^ Royal Society.
  31. ^ Womenoftheyear.co.uk.
  32. ^ Institute of Physics 2017.
  33. ^ Ouellette 2018.
  34. ^ Académie des sciences 2018.
  35. ^ RAS Gold Medal 2021.
  36. ^ Gold 2006.
  37. ^ Bell Burnell 2013a.
  38. ^ TU Wien 2013.
  39. ^ Bell Burnell 2019.
  40. ^ Brown 2020.
  41. ^ The Royal Society.
  42. ^ Who's Who 2017.

参考文献

  • ジョン・デーンティス他; 科学者人名事典編集委員会, eds (1997-3-1). 科学者人名事典. 丸善. ISBN 978-4621043172 

洋書
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外部リンク

学職
先代
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ダンディー大学学長英語版
2018年–
次代
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