シーア派法学で取り扱う主題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/31 07:07 UTC 版)
「十二イマーム派」の記事における「シーア派法学で取り扱う主題」の解説
イスラーム法学では、取り扱う主題に応じて大きくイバーダート(信仰、儀礼に関する規定)と、ムアーマラート(世俗的な営為に関する規定)の二つに分類される。スンナ派、シャフィイー派法学者であったガザーリーはさらに細分化して、イバーダート、アダト(一般的事柄)、ムンジヤート(救済を保証する事柄)およびムフリカート(破滅をもたらす事柄)の四つに分類している。 シーア派法学では、その他スンナ派の分類法の影響を受けながらMuhammad b. al-Hasan al-Hilliが四分類法を完成した。代表作شرایعالاسلامで提示されたこの分類法は、以後の法学者に継承された。それによると、法学で扱う主題は、イバーダート、ウクード(契約、ここでは相互的な義務を表す)、イカアート(一方的な義務)およびアフカームである。 例えばShahid Awwalはこれを受けて、宗教上の規定は地上での生活に関するものが彼岸の生活に関するものかどちらか一方であるとした。前者がムアーマラートであり、後者がイバーダートである。またムアーマラートは、個人の営為に関わるものとそうでないものに分類されるが、個人に関わらないものをアフカームとした。 さらに法学者の中には、イバーダートとムアーマラートを分類する理由は、前者が本来的にもつ美しさと優位性によると考える者もいた。つまり、信仰はイスラーム教徒にとって、果たすべき義務であるからである。全ての法学書では、信仰、儀礼に関する規定がまず先におかれ、世俗的営為に関するものはその後に続く。 شرایعالاسلامの四分類法に従い、シーア派法学が取り扱う主題について列記する。主題は全部で52ある。 ①信仰に関する行為(イバーダート) ・al-tahāra(儀礼的潔め)の書 ・al-salāt ・al-zalāt ・al-khums ・al-sawn ・al-i'ikāf ・al-hajj ・al-'umrā ・al-jihād ・al-amr bi'l-ma'rūf wa'l-nahy 'an al-munkar ②契約 ・al-tijāra ・al-raḥn ・al-mufallas ・al-ḥajr ・al-dāmān ・al-sulḥ ・al-sharika ・al-muḍāraba ・al-muzāra'a wa'l- musāqāt ・al-wadī'a ・al-'āriya ・al-ijāra ・al-wikāla ・al-wuqūf wa 'l-ṣadaqāt ・al-suknā wa' l-taḥbīs ・al-hibāt ・al-sabq wa'l-rimāya ・al-waṣāyā ・al-nilāḥ ③一方的義務 ・al-ṭalāq ・al-khu'l wa l'l-mubāra'a ・al-zihāl ・al-īlā' ・al-li'ān ・al-'itq ・al-tadbīr wa'l-mukātaba wa 'l-istīlād ・al-iqrār ・al-ju'āla ・al-aymān ・al-nadhr ④規則 ・al-ṣayd wa'l-dhabāḥa ・al-at'ima wa'l-ashriba ・al-ghaṣb ・al-shuf'a ・iḥyā' al-mawāt ・al-luqaṭa ・al-farā'iḍ ・al-qaḍa' ・al-shahādāt ・al-ḥudūd wa'l-ta'zīrāt ・al-qiṣāṣ ・al-diyāt شرایعالاسلامは十二イマーム派法学において最高の権威を持つ書物であり、現在もイランを中心とする宗教学院で基本的文献として研究されている。
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