シーア派教義の確立
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/30 17:10 UTC 版)
「ジャアファル・サーディク」の記事における「シーア派教義の確立」の解説
ジャアファルは前節の学者としてのあり方から見て取れるように、知と理性(アクル)を非常に重視した。これはシーア派学問や神智学的分野のみに留まるものではなく、法学分野に影響を与え、さらにシーア派の教義そのもの、ひいてはその政治思想にも影響を与えるものであった。判断(特に法的判断)における理性の強調は、とりもなおさず判断する者の「知」を重視することになるからである。この判断を社会全体での判断について当てはめると次のように議論が展開する。 ムスリム全体を導くために判断する者、すなわちウンマ(イスラーム共同体)を指導する者にも当然、知あるいは理性が求められる。では、預言者ムハンマド没後どのように「知」「理性」を持つ者が確保されてゆくのか。そこでジャアファルは、イマームこそ、そしてイマームのみが神の言葉たるシャリーア(イスラーム法)を正しく判断できるもの、とする。初代イマーム・アリーは知の完成者として賞賛されるが、ジャアファルは、その知のあり方はアリー家に受け継がれるとしたのである。こうして、ジャアファルにおいて、シーア派イマーム派の根本教義の一つ、アリー家の無謬のイマームが代々指導する共同体を志向するという教義が成立した。
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