シックル・クロー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/09 04:29 UTC 版)
本種を命名したオストロムは鎌のような爪(シックル・クロー)を斬撃に適した武器として発見し、これを受けた一部の研究者は、シックル・クローが大型のケラトプス類を切り裂くのに使われたとさえ提案した。なお2022年までにデイノニクスと同じ地層(クローヴァーリー層)から産出した角竜類は原始的なアクイロプスのみで、大型のケラトプス類が産出したという報告はない。代わりに一帯には大型の竜脚類や大型鳥脚類が生息していた。(※詳しくは“古環境”を参照) しかし研究が進むにつれ他の研究者は、シックル・クローを斬撃を目的とした武器ではなく刺突を目的とした武器だと主張した。2005年にフィル・マニングとその同僚は、デイノニクスやヴェロキラプトルの解剖学的特徴を抑えた油圧式ロボットと精巧な爪のレプリカを使用し、大規模な再現実験を行った。この実験ではブタの表皮の付いた肉塊には浅い刺し傷が残るに留まり、ワニの外皮には大きな傷が残らなかった。これを踏まえマニングらはシックル・クローが刺突用の武器、もしくはロッククライミングや木登りに使われていた可能性が高いとした。これにより一時期は刺突戦術が本種の狩猟方法とされた。 だが最近ではシックル・クローの断面が調べ直され、さらに角質構造の再確認が行われた結果、この武器が斬撃を主な目的としていた可能性が高まっている。断面が内側面が薄い刃状になっているため、シックル・クローを突き刺した後に体重を掛ける、もしくは脚を蹴り出す事で、獲物へ深い裂傷を残す事が可能だった。角質は末節骨を覆っていたため、シックル・クローの長さと鋭利さが底上げされていた。この角質の存在は2005年の再現実験において無視されてしまった。
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