シックデイとは? わかりやすく解説

シックデイ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/10/06 09:13 UTC 版)

シックデイとは糖尿病患者が治療中に発熱、下痢、嘔吐をきたし、または食欲不振のため食事が取れない状況のことである[1]。このような場合、血糖コントロールが良好な患者でも糖尿病性昏睡に陥る可能性があるため、十分な注意が必要である。高齢者の場合、意識障害認知症の進行と思われることもあるため注意が必要である。

シックデイの対応

原則としてインスリン治療中の患者は食事が取れなくても自己判断でインスリン注射を中断してはならない。食事をしないということはインスリンの追加分泌は必要ないかもしれないが、インスリンが必要な患者の多くは基礎分泌が足りていないからである。シックデイになった場合はまず、糖尿病性昏睡を予防するために十分な水分補給が必要である。下痢、嘔吐が激しく摂取不能であれば医療機関を受診し、生理食塩水を一日1Lから1.5L点滴静注する。可能な限り糖分と水分を摂取し、血糖を3~4時間に1回ずつ測定し血糖値200mg/dlを超えてさらに上昇を認めるようならば、その都度、速効型または超速効型インスリンを2~4単位追加する。大抵はこのような対応にて凌ぐことができるが、自宅での対応の場合は糖尿病性昏睡の否定(尿中ケトン体の測定)ができないため可能な限りかかりつけの医療機関を受診することが望ましい。経口血糖降下薬にて治療の場合は病態によって対応が異なる。インスリン基礎分泌まで障害されている患者の場合はインスリン分泌促進薬が必須の場合もある。摂取できた糖質がいつもの半量ならインスリン分泌促進薬をいつもの半量摂取するといった調整が必要だが、こういった判断はかかりつけ医か十分な知識をもった患者自身しかできないことが多い。本人が具合が悪いからという理由で服薬状況、治療歴を把握していない家族がかかりつけでもない病院に問い合わせても、防衛医療の観点から十分な対応が取れないこともある。

入院が必要な場合

嘔吐、下痢が続き食物摂取不可能、あるいは高熱が続き、尿中ケトン体強陽性、血糖値350 mg/dl以上のときは入院治療が必要となることが多い。また、糖尿病性昏睡、即ち糖尿病ケトアシドーシス高浸透圧高血糖症候群乳酸アシドーシスであった場合は入院が必要なのは言うまでもない。この場合、速やかに速効型インスリン投与(10単位静注する。以後は0.1単位/kg/hrにて点滴静注)を行わないと死亡することもある。血糖が250~300 mg/dl、HCO3>18 mEq/L、pH>7.3になるまで続け、その後インスリン投与にて低カリウム血症となるためカリウムを補充する(60 daymEq/以上と通常では考えられない量補充する)という作業が必要である。このような治療は入院しなければ行うことができない。

糖尿病ケトアシドーシスに陥る前段階としてケトーシスという病態が知られている。血糖値が高いだけで、経口摂取可能、意識状態良好だが体内は飢餓の状態であり尿中ケトン体陽性であるという状態である。この状態では脱水予防として水かお茶を2l程度追加で飲んでもらうということで様子をみることも可能である。しかし36時間経過しても尿中ケトン体強陽性であった場合、少しでも反応が悪く朦朧としていると疑った場合は糖尿病専門医のもとで治療を受けた方が望ましい。

脚注

出典

  1. ^ シックデイ | 糖尿病情報センター”. dmic.ncgm.go.jp. 2024年9月26日閲覧。

参考文献


シックデイ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/09 21:08 UTC 版)

インスリン製剤」の記事における「シックデイ」の解説

糖尿病患者治療中発熱下痢嘔吐来たし、または食思不振により食事出来ない状態をシックディという。この場合の対応としては主治医医療機関連絡行い指示を受ける、決し自己中断をせず、水分摂取して十分に脱水を防ぐ、口当たりがよく消化によいものを摂取して絶食状態にならないようにする、血糖3-4時間ごとに測定する可能ならば尿中ケトン体測定するといった事が原則となる。2型糖尿病食事十分に摂取できていれば普段通りインスリン投与行い食事量半分ならばインスリン普段半分使用する、ほとんど摂取不可能ならば血糖値に応じてインスリンスライディングスケール対応するのが一般的である。1型糖尿病場合基礎分泌相当するインスリン量は変更しないのが原則である。入院適応考えるべき状況とは、高熱2日上続く時、嘔吐下痢が続く時、脱水尿量減少認められる時、高血糖350 mg/dL以下にならない)や尿中ケトン体陽性が続く時、高血糖に伴う症状口渇、多飲、多尿急激な体重減少意識障害)が発生した時が挙げられる。これらの状況では、糖尿病性昏睡治療法則って行う。

※この「シックデイ」の解説は、「インスリン製剤」の解説の一部です。
「シックデイ」を含む「インスリン製剤」の記事については、「インスリン製剤」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「シックデイ」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「シックデイ」の関連用語

シックデイのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



シックデイのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのシックデイ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaのインスリン製剤 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS