ササムロとは? わかりやすく解説

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ササムロ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/29 04:27 UTC 版)

ササムロ
保全状況評価[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
: スズキ目 Perciformes
: タカサゴ科 Caesionidae
: タカサゴ属 Caesio
: ササムロ C. caerulaurea
学名
Caesio caerulaurea
Lacépède1801
シノニム[2]
英名
blue and gold fusilier

ササムロ(笹鰘、学名Caesio caerulaurea)は、タカサゴ科に分類される魚類紅海を含むインド太平洋地域の熱帯の水域に広く生息する[2]

分類と名称

1801年にフランス博物学者であるベルナール・ジェルマン・ド・ラセペードによって記載され、タイプ産地はモルッカ諸島であった[3]。ラセペードは Caesio caerulaureus という学名を用いたが、Caesio は女性名詞であるため、C. caetulaurea という学名に修正された。1876年にはオランダ魚類学者であるピーター・ブリーカーによって、タカサゴ属のタイプ種に指定された[4]

種小名は「caeuruleus (空色)」と「aurea (金色)」を組み合わせたもので、空色の背中と金色の帯を表している[5]。blue fusilier、gold-band fusilier、scissor-tailed fusilierといった英名もある。沖縄県では「ヒラーグルクン」と呼ばれる[6][7]

分布と生息地

紅海から南アフリカまでのアフリカ東海岸から、インド洋を通って東は太平洋フランス領ポリネシアまで、北は南日本、南はバヌアツニューカレドニアまで、インド太平洋熱帯域に広く分布する。ペルシア湾には分布しない[1]。日本では主に南西諸島に分布する[8]オーストラリアではシャーク湾からアドミラルティ湾まで、アシュモア・カルティエ諸島からグレートバリアリーフ北部まで、またクイーンズランド州からシドニーまで、クリスマス島およびロード・ハウ島に分布する[9]。生息水深は2-40m[1]。通常はサンゴ礁に生息するが、沿岸やラグーン、藻場でも見られる[9]

形態

体は紡錘形で、多少側扁する。鋤骨口蓋骨に円錐形の歯がある[10]クマササハナムロなどの近縁種と比べて体高が高い[11]。背鰭は10棘と14-16軟条から、臀鰭は3棘と10-12軟条から成る[2]。背鰭と臀鰭には鱗がある[10]。全長は通常25cmで、最大35cmに達する[2]。体色は水色で、腹側は白い。主に側線に沿って黄色から金色の縦縞が入る。この縞の上下は白く縁取られ、尾鰭の上下には暗色帯が入る[9]

生態

中層で大きな群れを成し、動物プランクトンを捕食する。性成熟は早く、繁殖力も高い。大量の小さな浮遊卵を放出する。産卵期は長く、月齢に合わせて集団で産卵する[1]。沖縄では5月から7月に産卵期を迎える[6]。産卵の約1-1.5時間前には、1-2匹の雄が雌に近づき、膨らんだ腹部を鼻先で押す。産卵まで1時間を切ると、2-6匹の雄が腹部を雌の腹部に近づけようとする。この姿勢をとったつがいは、水面に向かって螺旋状に浮上し、卵子精子を放出し、他の雄がそれを追う。これらの雄はスニーカーであり、最初のつがいが精子と卵子を放出した場所に精子を放出する。スニーカーが産卵に参加しないこともある[12]

人との関わり

沿岸漁業では重要な対象種であり、インドネシアフィリピンでは市場に多く流通する。追い込み漁、刺網トロール網釣りで漁獲される。幼魚はマグロ釣りの餌に利用される[13]。日本では南西諸島で食用として流通している[14]

出典

  1. ^ a b c d Fricke, R. (2010). Caesio caerulaurea. IUCN Red List of Threatened Species 2010: e.T155097A4703967. doi:10.2305/IUCN.UK.2010-4.RLTS.T155097A4703967.en. https://www.iucnredlist.org/species/155097/4703967 2025年6月29日閲覧。. 
  2. ^ a b c d Luna, Susan M.. “Caesio caerulaurea, Blue and gold fusilier”. 2025年6月28日閲覧。
  3. ^ CAS - Eschmeyer's Catalog of Fishes Caesio”. researcharchive.calacademy.org. 2025年6月29日閲覧。
  4. ^ William N. Eschmeyer. Fricke, Ron & van der Laan, Richard (eds.): “Genera in the family Lutjanidae”. Catalog of Fishes. California Academy of Sciences. 2025年6月29日閲覧。
  5. ^ Order ACANTHURIFORMES (part 4): Families HAEMULIDAE and LUTJANIDAE”. The ETYFish Project Fish Name Etymology Database. Christopher Scharpf (2025年1月26日). 2025年6月29日閲覧。
  6. ^ a b 佐久本孟寿「ぐるくん(タカサゴ科)」『おきなわのいまいゆ』第10巻、沖縄県水産海洋技術センター、2016年10月、1-2頁、2021年2月13日閲覧 
  7. ^ ササムロ”. 沖縄海人魚市場. 沖縄県漁業振興基金. 2021年2月13日閲覧。
  8. ^ 下瀬環 (2018)「ササムロ」中坊徹次(編/監修)『小学館の図鑑Z 日本魚類館』p.276、小学館、ISBN 978-4-09-208311-0
  9. ^ a b c Bray, D.J (2022年). “Caesio caerulaurea”. Fishes of Australia. Museums Victoria. 2025年6月29日閲覧。
  10. ^ a b K.E. Carpenter (2001). “Caesionidae”. In Carpenter, K.E. & Volker H. Neim. The Living Marine Resources of the Western Central Pacific Volume 5: Bony fishes part 3 (Menidae to Pomacentridae). FAO Species Identification Guide for Fishery Purposes. FAO Rome. p. 2926. https://www.fao.org/4/y0770e/y0770e00.htm 
  11. ^ ササムロ”. 沖縄美ら海水族館. 2025年6月29日閲覧。
  12. ^ 横山季代子; 亀井良昭; 戸田実; 平野克己; 岩槻幸雄 (1995). “タカサゴ亜科魚類ササムロCaesio caerulaureaの飼育下における産卵行動とその卵内発生および仔魚”. 魚類学雑誌 42 (2): 157-164. doi:10.11369/jji1950.42.157. https://doi.org/10.11369/jji1950.42.157. 
  13. ^ Carpenter, Kent E., ed (1988). FAO species catalogue. 8: Fusilier fishes of the world: an annoted and illustrated catalogue of Caesionid species known to date / prep. by Kent E. Carpenter. FAO fisheries synopsis. p. 36. ISBN 978-92-5-102746-2. https://www.fao.org/4/t0046e/T0046E06.pdf 2025年6月29日閲覧。 
  14. ^ ササムロ | 魚類 | 市場魚貝類図鑑”. ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑. 2025年6月29日閲覧。

関連項目




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