ゴットの推定
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/26 18:40 UTC 版)
リチャード・ゴットは、コペルニクスの原理を応用し、ベイズの定理に基づく未来予測の方法を提案した。その予測方法とは、以下の様なものである。 無作為に選ばれた観測者が、ある事象を観測した場合に、その観測者が特別な観測者である可能性は小さい。そうすると、観測した時期は、その事象が始まってから終わるまでの間で、中間辺りにある可能性が大きく、始まったばかりや終末間近というのはありそうにない。そこで、その事象が始まった時刻をtbegin 、終わる時刻をtend 、観測した時刻をtnow とした時に、r = ( tnow - tbegin ) / ( tend - tbegin ) が0から1までの一様な乱数だとすると、rは95%の確率で0.025 < r < 0.975となる。これはつまり、tend - tnow が、tnow - tbegin の39分の1から39倍の範囲に収まることが、95%の確信度でいえるということである。 ゴットはこれを、デルタt論法と呼んだ。その一つの適用例として、ゴットは1969年(建設から8年)にベルリンの壁を見たことを挙げ、壁の崩壊はその20年後だったことから、tend - tnow がtnow - tbegin の2.5倍となって、信頼度95%の範囲に収まっているとした(この場合、デルタt論法ではベルリンの壁の寿命が、確信度95%で2ヶ月半後から312年後の間に尽きることになる)。また、人類の未来についても予測し、ホモ・サピエンスの登場を20万年前とした場合、人類の種としての残りの寿命が5,100年から780万年だと推定した。また、SETIについても、ドレイクの方程式の変数L(技術文明の存続期間)を同じ手法で予測することで、カルダシェフ・スケールのII型文明が銀河系内に、III型文明が宇宙の地平線内に存在することは期待できない、との見通しを述べた。 ゴットの推定は、人類の寿命を予測していることから、いわゆる「終末論法(英語版)」の一つともされる。
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