コイルセンターにおける加工設備について
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2013/07/30 02:36 UTC 版)
「コイルセンター」の記事における「コイルセンターにおける加工設備について」の解説
コイルセンターには鋼帯を加工するさまざまな設備があり、多様な加工が行われている。それらのうち主要なものについて記述する。 レベラー(レベラーシャー)…コイルを巻き戻し(アンコイル)、巻き癖などを矯正して平坦な形状にして(レベリング)、比較的大きな一定の寸法の鋼板に切断する(シャーリング)、コイルセンターにとってもっとも基本的な設備。この設備能力が大きいほど、大規模な業者と考えて概ね差し支えない。コイル端面の形状調整や微妙な寸法調整のために、コイルの端を切断する機能(幅トリミング)を有する設備も見られる。また、鋼材表面に保護フィルムを張ったり、鋼材表面に付着した油を拭き取るための特別な装置が付属している場合もある。 スリッター…コイルの幅を分割して、より狭幅のコイル(一般にフープと呼ぶ)を生産する設備。例えば、母材コイル幅1000mmを100mmX10に分割する(実際には切断代を考慮する必要があるため、もっと複雑)。コイルの途中で長さを切断するためにシャーも設置されるのが一般的。スリット幅は全て同じである必要はなく、設備の制限内で自由に設定可能。一度に20条近いフープを製造できる設備もある。 シャー…鋼板をさらに小さく切断する設備。例えば、1000X1000mmの鋼板から200X100mmの板を50枚切断する(実際には切断代を考慮する必要があるため、もっと複雑)。切断する寸法に応じて、いくつか性能の異なる設備を保有するのが一般的。 ブランク…鋼板(またはコイル)を型で打ち抜いて、複雑な形状の板を生産する(ブランキング)設備。板の性質や寸法に応じて型の微妙な調整が必要であり、独特のノウハウが求められる。 アンコイラー・リコイラー…コイルの裏表を反転させたり、コイルを分割する(例えば、20tコイルを5tX4にする)・コイル内径を変更する(例えば、762mmを610mmにする)等のために、巻き戻したコイルを再度巻く(リコイリング)するための設備。これを単独で持つ業者は少なく、スリッターラインにこの機能を兼務させることが多い(スリッターには標準でアンコイラー+リコイラーが存在するので、わざわざ専用のラインを設置しなくても、対応は可能)。 コイルセンターの規模や業務形態によっては、一つの事業所にこれら全てが存在しているとは限らない。また、特定の加工に特化した業者も多く、それらは「スリッター業者」「シャーリング業者」などと呼ばれている。 なお、ステンレスやチタンといった材料でも、概ね普通鋼と同一のラインで加工が可能(ただし独特な作業ノウハウと工程管理が必要)であるため、コイルセンターの中には普通鋼の他にこうした素材を扱っている業者も存在している。ただし、ステンレス鋼は普通鋼とは異なる流通体系を持っているため、ステンレス鋼専業のコイルセンターが扱う量が圧倒的に多い。
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