ケンタウロスとの戦い
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/18 04:04 UTC 版)
「ラピテース族」の記事における「ケンタウロスとの戦い」の解説
神話によるとラピテース族はケンタウロスと仲が悪かった。この対立関係はすでに『イーリアス』で語られており、老将ネストールはラピテース族の王ペイリトオスやドリュアース、エクサディオス、カイネウス、ポリュペーモス、さらにアテーナイの王テーセウスとともに戦ったことを同寮の将軍たちに話している。また第2巻の軍船表ではペイリトオスの子ポリュポイテースは父がペーリオン山からケンタウロスを追い出した日に誕生したと語られている。アクーシラーオスも不死身の英雄カイネウスがケンタウロスと頻繁に戦ったと伝えている。 オウィディウスの『変身物語』によると、この戦いはペイリトオスの結婚式の日に起きた。彼はテーセウスとは親友で、一緒に冒険や探検をする仲であった。そのためペイリトオスは美しいヒッポダメイアと結婚したとき、両家の親族やテーセウス、またケンタウロスなどの他のテッサリアーの住民を招待した。しかし婚礼の途中、好色なケンタウロスたちはワインに酔って、他の女達や若い男たちをさらおうとした。中でもエウリュトス(エウリュティオーンとも)はケンタウロスの中でも荒っぽい性格で、酒に酔って花嫁のヒッポダメイアを誘拐しようとした。そのため会場は大混乱となり、ケンタウロスから女たちを守ろうとするラピテス族は、他の地方から出席した英雄たちの力も借りてケンタウロスと戦った。オウィディウスはこの戦いを詳細に語っている。テセウスは酒甕をエウリュトスの頭に投げつけて倒し、ビアノールの背に飛び乗って棍棒で打ち殺した。ペイリトオスは樫の木を引き抜こうとしているペトライオス、あるいはリュコス、クロミス、ペロプスを投槍で倒した。またペイリトオスに追われたディクテュスは崖から転落してトネリコの樹に胴を刺し貫かれた。エクサディオスは鹿の角でグリューネウスの両目をえぐった。ドリュアースは焼けた杭でロイトスを追い払ったのをはじめ、多くのケンタウロスを殺した。アキレウスの父ペレウスはデーモレオーンを槍で討った。ペリパースはピュライトスを、アムピュコスはエケクロスを、マカレウスはエリグドゥボスを、予言者モプソスはホディテースを打った。不幸にも不死身のカイネウスはケンタウロスに殺されたが、この戦いでラピテス族はケンタウロスの多くを討ち、あるいはテッサリアー地方から追放した。 ラピテース族の戦士リスト 以下は『イーリアス』1巻(Il)、『ヘーラクレースの楯』(SH)、『変身物語』(Ov、戦死者除く)による。 50音順名前綴り(el)綴り(la)IlSHOv順-01 アムピュコス Ampyx ○ 順-02 エクサディオス Εξάδιος Exadios ○ ○ ○ 順-03 カイネウス Καινεύς Kaineus ○ ○ ○ 順-04 ドリュアース Δρύας Dryās ○ ○ ○ 順-05 パレーロス Φάληρος Phalēros ○ 順-06 プロロコス Πρόλοχος prolochos ○ 順-07 ペイリトオス Πειρίθοος Peirithoos ○ ○ ○ 順-08 ペリパース Περίφας Periphās ○ 順-09 ホプレウス ´Οπλεος Hopleus ○ 順-010 ポリュペーモス Πολύφημος Polyphēmos ○ 順-011 ポルバース Φόρβας Phorbās ○ 順-012 マカレウス Μακαρεύς Makareus ○ 順-013 モプソス Μόψος Mopsus ○ ○
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