ケルトのグレートマザー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/27 12:44 UTC 版)
地母神の典型例はケルト神話に見られる。ダヌはケルトの神殿トゥアハ・デ・ダナーン(古アイルランド語でダヌの民の意)の神々の先祖であり、その名の元になった古い女神である。生命の源であり、火、竈、命、歌といったものの神である。 母なる神は豊穣の女神、戦いと破壊の女神といった性格で定義されるが、生命を産み、奪うという性質が日本神話のイザナミと同様一般的な要件となる。ケルト神話では、女王メズヴ (Medb) がその性格を持っている。メズヴは戦をよくし、『クアルンゲの牛捕り (Táin Bó Cuailnge) 』の中で指導的な役割を果たす。この点で、戦の女神の性質を継いでいる。メズヴは後に豊穣神としても扱われるようになった。エウヘメロス的な豊穣神としての性格は常に「親しい腿達」(friendly thighs) と妥協している点に示され、また浮気な性格でも有名だった。さらに妖精の女王マブと混淆していった。 メイヴ(メズヴの英語読み)の名はウィリアム・シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』にも、夢にからんだマキューシオ(登場人物)の独白の中に現れる。そこではメイヴは処女を妊娠させる一種のフェアリーとしての役割を負っている。彼女が小人と妊娠に関係していることは重要である。ケルトの神話の中では、小人を飲み込むと妊娠するという話が何回か出現する。これらはメズヴが時とともに豊穣神としての性格を強めていったことを示していると思われる。母なる神は仮に直接自然を制御しない場合でも、常に自然と、特に大地と関連づけられるのではないか。生命の神秘、それを産み出す母の力、それら全てを迎え入れる自然。古代の、特に母系の社会では多くの場合大地を母親ととらえ、全ての生命の源と信じたであろう。かくして母のアーキタイプ(元型)となった。このような性格は現在の地母神の見方からは大方失われ、自然との繋がりが主たる特徴になっている。
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