グリーンブーツの周辺
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/19 06:29 UTC 版)
「グリーンブーツ」の記事における「グリーンブーツの周辺」の解説
グリーンブーツは、およそ200体に上る、21世紀初頭の時点でエベレストに取り残された遺体のひとつとなった。「グリーンブーツ」という呼称がエベレスト界隈でいつ頃定着したのかははっきりしていない。長年の間にこの呼称が一般に広く浸透していったが、それは、北側からの登頂を目指す全ての遠征隊が、石灰岩の洞の中で身を屈めるようにしているこの登山者の遺体を必ず目にしてきたからであった。この洞は、標高8,500メートル (27,887 ft)にあり、空の酸素ボンベがいくつも打ち捨てられている。この洞は、第1ステップより下の、登山ルート沿いにある。 あだ名がつけられている遺体としては、ほかにも、「眠れる美女 (Sleeping Beauty)」と称されているフランシス・ディステファノ=アーセンティエフ (Francys Distefano-Arsentiev) があり、1998年に遭難死した彼女は登頂に成功しながら下山できなかった。彼女の遺体は、彼女が倒れた場所に留まり、儀礼的に視界から隠された2007年まで、目視することができる状態だった。 さらに、「虹の谷 (Rainbow Valley)」と称される、頂上直下の一帯には、明るい色の登山着をまとったいくつもの遺体が散在している。また、南側ルートの目立つ場所にあったハンネローレ・シュマッツの遺体は、「ドイツ人女性 (the German woman)」という名で知られていたが、彼女は1979年に登頂に成功した後、下山の途中に標高8,200メートル (26,903 ft)で遭難死したのであった。彼女の遺体は、長らくその場所にあったが、その後、斜面の下へ吹き落されてしまった。 2006年、イギリスの登山家デイヴィッド・シャープがグリーンブーツ・ケーブで、低体温症の状態で、登山家マーク・イングリスの一隊によって発見された。イングリスは無線でシャープを救助するにはどうしたら良いのかと助言を求めたが、為す術はなく、そのまま頂上を目指した。その数時間後、極度の低温の中でシャープは落命した。その日には、他にもおよそ3ダースほどの登山者たちが、死にかけていたシャープの近くを通ったはずであったが、シャープを見かけた者の中にはシャープをグリーンブーツと見誤って、ほとんど注意を払わなかった者もいたと考えられている。
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