クリストフォリの発明
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/26 10:11 UTC 版)
「フォルテピアノ」の記事における「クリストフォリの発明」の解説
現在「フォルテピアノ」と呼ばれる楽器は、1700年頃にフィレンツェにてチェンバロ製作家のバルトロメオ・クリストフォリによって考案された。クリストフォリは1720年代までこの楽器の開発を続けた。現存する3台のクリストフォリの楽器はこの時期のものである。 現存最古の信頼できるフォルテピアノの記録は、クリストフォリのパトロンであったメディチ家の1700年の日付をもつ目録にみえる。目録中の記述は次のように始まっている。"Un Arpicembalo di Bartolomeo Cristofori di nuova inventione, che fa' il piano, e il forte, a' due registri principali unisoni, con fondo di cipresso senza rosa..." (「1台のアルピチェンバロ、バルトロメオ・クリストフォリによる新規発明、優しく、また大きく響くもの、ユニゾンに調律した2レジスター、ローズ無しのイトスギの響板…」)。 他の史料としてフェデリゴ・メッコリがジョゼッフォ・ツァルリーノの『ハルモニア教程』 (Le istitutioni harmoniche) の余白に記した記述がある。メッコリは次のように記している。「これらの方法によって "Arpicimbalo del piano e forte" を演奏することができる。(この楽器は)もっとも高貴なるフェルディナンド・トスカーナ大公子殿下のチェンバロ製作家、パドヴァのバルトロメオ・クリストファニ師(原文ママ)によって1700年に発明された」。 クリストフォリの楽器は、優れたアクションで今日高く評価されており、ある面では後の楽器の多くよりも巧妙で優れた機構を持っている。また、ハンマーの打撃に耐えるためには弦に充分な張力が必要であるが、クリストフォリの楽器は、同時代のチェンバロよりも頑丈な構造を持ち、より太い弦が高い張力で張られている。弦は全音域で1音に2弦ずつ張られ、後のあらゆるピアノと同様、ハンマーが複数の弦を同時に叩くようになっている。さらに、クリストフォリの楽器には、現代のピアノのソフトペダルに相当する機構も備わっている。ソフトペダルはハンマーが叩く弦の数を減らすようにする機構で、クリストフォリの楽器ではハンドストップを使用している。ただし、モダンピアノのソフトペダルがクリストフォリの発明の直系なのか、独立に発明されたのかは明らかでない。
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