クリエイター・オウンド作品の是非
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/26 16:40 UTC 版)
「アメリカン・コミックスにおけるクリエイターの権利」の記事における「クリエイター・オウンド作品の是非」の解説
実作者にとって、職務著作とクリエイター・オウナーシップにはいずれも利点と欠点があり、何を重視するかは個人によって異なる。メジャー出版社で仕事をするには職務著作契約を結ぶ必要があるが、小出版社と比べて発行部数は多く、原稿料は十分に支払われる。二次的利用のロイヤルティは一部しか得られないものの商品化の機会自体は多い。また、スーパーマンやアベンジャーズのように長い歴史を持つ元型的なキャラクターを使えることは、創作者にとって職務著作の大きな利点だという主張もある。一方でクリエイター・オウナーシップには出版社からジャンルや内容について制約を受けないという大きな利点がある。 人気ライターピーター・デイヴィッド(英語版)は自身のクリエイター・オウンド作品について、出版社が所有するキャラクターを使った職務著作作品と比べてわずかな売り上げしかなかったとたびたび発言している。作画家マーク・シルヴェストリ(英語版)は反対に、クリエイター・オウンド作品から職務著作作品より多くの収入を得ることも可能だと主張し、次のように述べた。「金銭的な話をするなら…みんな聞きたいよね。発行部数がそのまま収入になるわけじゃなく、自分の取り分がいくらかが問題なんだ」 作品内容の面からも、いずれの方式にも擁護者がいる。企業が所有するキャラクターは常に新しいクリエイターによって再創造され続け、それゆえに個人の発想を超えた文化的アイコンへと成長しうると論じる者もいれば、そのような制作体制は創造性に枷をかけるもので、個人的かつ非凡な表現が生まれにくくなるという意見もある。主に実作者の側から、クリエイター・オウナーシップは作品の質を向上させるインセンティブになるという言説もなされたが、コミック評論誌『コミックス・ジャーナル(英語版)』は1983年にこれを批判し、利益配分と作品性の問題を切り分けるよう主張した。
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